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いい感じにほろ酔いになった武田さんを乗せたタクシーを健永くんと一緒に見送って。
「じゃあここで。お気をつけて。また武田さんといらしてくださいね」
健永くんにそう言って、店に戻ろうとしたら、ぐいって腕を引っ張られた。
「待って」
振り返ると、健永くんがまっすぐ私を見ていた。
「あの…ありがとうございました」
そう言って、ぺこり、と頭を下げる。
「え？何ですか？」
「…お酒。お水に変えてくれました、よね？」
「ああ。そんなこと…よくありますよ」
「でも！本当に助かりました。武田常務には何かとよくしてもらってるのに、酒の一杯にも付き合えないって思われたくなかったので」
お客さんに嫌なことを言われるのも珍しいけど、こんな風に丁寧な口調でお礼を言われるのは、もっと珍しかった。
あまりにもまっすぐすぎるその視線から、思わず目をそらす。
「お酒が飲めるか飲めないかは体質なので仕方ないですよ。無理しない方がいいし。じゃあ、ここで」
失礼します、と言おうとしたら、遮られた。
「お酒が飲めなかったら。ここにはもう来たらダメかな？武田常務と一緒じゃなくて、俺一人で」
「お酒が飲めなかったら、何しに来るの？」
「Aさんに、会いに来る」
視線と同じくらいまっすぐな健永くんの言葉に、一瞬たじろいだ。
「それは…別に……」
「A」
店の入り口がある階段の下から、高嗣の声が聞こえて我に返る。
何まじなトーンで返事してんの、私。
「もちろんお待ちしてまーす」
急に貼り付けたような愛想笑いを浮かべた私に。
「じゃあ、また来ます！」
健永くんは、本当に嬉しそうに笑ってそう言った。
階段を降りて行ったら、壁にもたれて腕を組んでる高嗣と目が合った。
「三番、山田さんがお待ちかねだよ」
「はーい」
「……何口説かれてマジになってんの」
「なってない」
「嬉しそうだったじゃん」
「そんなことない」
高嗣が優しい声で言った。
「A。お前はいい女だよ。でもああいう真っ当に生きてきた奴とは、住む世界が違うんだよ」
高嗣に言われなくても、そんなことわかってる。
「お店に来てくれるなら、いいカモだって思っただけだよ」
頭の片隅に残っている、健永くんのまっすぐな瞳をかき消すように、私はまた笑顔を貼り付けて、店のドアを開いた。
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ニイナ(プロフ) - あやかさん» こんな後味のあまりよろしくない話まで読んでくれたの😂この先どこまでも落ちてほしいです(願望)コメントはいつもらっても嬉しいです、ありがとうです♪ (2021年9月24日 20時) (
レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 北山さんのお話、禁断ですがこの先が気になる〜(//∇//)(コメント連投ですいません) (2021年9月24日 12時) (レス) @page22 id: d1d73bb006 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - 深雪さん» 深雪さんがこのシリーズ好きだって言ってくださって本当に嬉しかったです！深雪さんは誰担さんなのかしら、またいつか教えてくださいね♪後日談！書くつもりじゃなくて好き勝手終わらせてしまったけど、話数余ってるし機会があれば書いてみようかなー (2021年7月9日 17時) (レス) id: 53a8b8ecd7 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - りーちゃんさん» りーちゃんさん♪だらだら書いてたのにどのお話も読んでくださってありがとうございました！ハッピーエンドじゃない終わり方を考えるのがけっこう好きみたいです★りーちゃんさんがどんな妄想をしてくれたのかめっちゃ聞きたいです( ´艸｀)♪ (2021年7月9日 17時) (レス) id: 53a8b8ecd7 (このIDを非表示/違反報告)
深雪(プロフ) - このシリーズすごく好きでした。この後どうなったのか妄想を楽しみつつ、後日談も読んでみたいような。 (2021年7月9日 0時) (レス) id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニイナ
| 作成日時：2021年6月6日 20時
