影と幻〈伏黒恵〉

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「…A？」



足元に倒れているA
その周りには段々と血が広がり、ピクリとも動かないAに俺の額には冷や汗が伝っていた

ぐったりとしたAを抱き上げ必死に走った
腹部から流れる血は手をジトっと濡らし始めていた



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「…君も少し休んだ方がいい
しばらくは目を覚まさないと思うぞ」

「硝子の言う通りだよ〜
ちょっと寝てきなよ、Aが目覚ましたら
起こしてあげるから」

「…平気です」



如月が伏黒を庇い大怪我を負ってから2日が経った
如月はその間眠り続けており、伏黒は如月の側を離れようとしなかった
食事もろくに取らずまともに寝ていない状態が続いていた


「伏黒、アンタ顔酷いわよ
いつもより目据わってるし隈出来てるし」

「俺ら変わるから寝てこいよ」

「…いい」


「……あのねぇ、アンタがそんなんじゃ
Aが起きた時心配するでしょうが」

「伏黒が如月のこと好きなのはよーく知ってるけどさ、
釘崎の言う通り如月も心配するよ」

「…」



如月の様子を見にきた虎杖と釘崎にそう言われると、伏黒は何も言わずボスッと如月の眠るベッドに顔を埋めた
伏黒の右手は如月の手をギュッと握っており、その様子を見た虎杖と釘崎は顔を見合わせた



「(いつも俺らが“如月のこと好きなんだろ”って
イジったらそんなんじゃないって否定してくるのに！)」

「(今日はやけに素直じゃない、相当弱ってるのね)」




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