だらしない妻と神経質な夫 9

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なっちゃんの時を思い返すと、あの日のカンタくんは最高にかっこよかった。それに対して今はどうだろう？1人で荷物をまとめてなっちゃんの相手をしながら私の世話を焼いてくれてる。今の方が断然かっこいいじゃん？


カ｢お水飲んどこ？｣

『飲むぅ...』

先｢それ飲んだらもっかい見るね？開いてるかも！｣


病院に来てからまだ40分。確かに陣痛はめちゃくちゃ痛いんだけど、前回と違いなっちゃんが見てる。ママが苦しんでるところ見せるのはストレスになるんじゃないかと思っちゃう。それに柔らかい子供の香りはすごく落ち着く。内診して貰う時も先生が気を使ってタオルを掛けてくれる。こんなわがままを許して貰えてるのはとっても有難い。


先｢あーもう全開だね？もう1人助産師呼んできて？万が一の時用に輸血準備もお願い｣

助｢分かりました｣

カ｢え？もう出てきます？｣

先｢もう1時間以内に出そうかな？｣

ト｢おーい、お前かっけぇなぁ！頑張れ！｣

『恥ずかしいなぁもぉ...』

カ｢この姿見られて照れないのに褒められたら恥ずいんかい笑｣


陣痛の間隔はもう5分ほどになって来てて、周りのバタバタも相まってそろそろだなって感じ始めた。キイチはずっと私を心配そうに見ながらカメラを掴んでる。


『キイチ...』

キ｢ん？どした？｣

『バッテリー、替えといた方が良くない？』

キ｢はっ！そっか！｣


慌てて替えてるキイチ。いつもなら私よりしっかりしてるのにきっと心配してくれてるんだろう


カ｢まだ1時間しか撮ってないけど笑｣

ト｢どうしようおじさんまた泣いちゃうかもしれん！｣

ふ｢ともくんこういうのしっかり泣くよね？ぽくなくて素敵。｣

『おーい隣で惚気が始まったんだが〜？』

カ｢あれ？元気じゃん？笑｣

『お腹痛いでーす！』

先｢ねーねー、長女ちゃんの出産に立ち会ったのってゆーちゃんだよね？｣

『あれ？お知り合いですか？』

先｢インターンでここ来てた！こんなでかいとこぶるっちゃうんで個人産院で修行してから来ます！って言ってたから覚えてる笑｣

『言いそ〜笑』

カ｢まさかのだね笑｣


先生も準備万端、私も出すのみの状況に、やけに冷静になってきた。今は何よりも2人が元気に出てきてくれればそれでいい。


『あ、え？痛い...頭出てません？』

先｢よくわかったね？見えてるよ〜？｣

カ｢え？なんでそんなに冷静なの？怖い怖い...｣

『あ〜痛い...』

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