街の創世主4 ページ29
算段、なんて言っても、彼女が周りに害をなすことをしないのはわかりきっている──信じている──ので、本人に、問いただすだけ。
「ミティ、マリエルの居場所、わかるかもしれない」
「ほんと!? ミティ、マリエルにまた会える!?」
「かも……ね」
そこについてはまだ確信が持てない。
瞳を輝かせるミティに、私はお茶を濁した。
「あの、オレイユ……さん」
「なぁに? A。ずいぶんと神妙な面持ちね」
「えっと……」
もし間違っていたら、とか。
不安になる要素は、私にとっては十二分にあった。
「オレイユさんが、この街を……シュピールを、創ったんですよね?」
「えぇ、そうよ」
「え」
あまりにもあっさりとした返答に、私と、私の背中にくっついたミティは目を点にする。
今、肯定したよね??
「そう──人形の街シュピールは、私が創ったの」
にこやかに、しかしどこか寂しそうに言うオレイユに、私たちは困惑を隠せない。
背後のミティはというと、口元に手を当ててわなわなと震えて……って、それはわざとらしすぎるよミティ。さすがにやりすぎ。
「うーん……隠してたわけじゃないんだけど。いままで誰にも訊かれなかったし」
「AA、そんなの訊く人いないよねー普通」
「ちょっとミティ、しっかり聞こえてるわよ」
まさかのオレイユからツッコミが入るスタイル。
衝撃の真相が明らかに! というテンションで挑んだ私だけが場違いみたい。
「でもA、なんで私だ……って特定できたか、聞いてもいいかしら?」
「それは、あなたの口調です」
「話し方?」
「あ、ちょっと違うんですけど」
やっぱりうまく決まらない。
でも、私が確信を持ったのにはちゃんと理由があって、だから。
「オレイユさん、よく言ってますよね、『人形の街シュピール』って。この独特の言い回し、普通の人は日常会話で使わないんですよ。『夜の街、歌舞伎町』くらい」
「確かにオレイユ、よく言ってるよねー。夜の街の下りはわっかんないけど」
「それで、カザーさんにこの街ができた当時のこと聞いたとき、同じフレーズだったんです」
「そっか」
オレイユは、うんうん、と納得した表情を見せた。
「あなたはどうしたい?」
「え?」
「あなたは、元の世界に帰りたいの?」
その質問に、私は目を見開いた。
元の世界に、戻る……?
「巻き込まれた住人の
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葉月だんご(プロフ) - 麦カケさん» 感想ありがとうございます〜! 私も書いてるとき、主人公の正体をバラそうか隠そうか迷いました(笑) 今後の展開にもぜひ、ご期待ください(*´ω`*) (2020年12月30日 23時) (レス) id: 1261bb0f48 (このIDを非表示/違反報告)
麦カケ(プロフ) - 初めまして。人形達が持ち主だって気づいてない所がせつないです(でもそう言う設定好きです)これからどう言う展開になっていくのか気になります。無理せず作者様のペースで頑張ってください! (2020年12月30日 17時) (レス) id: ea0439ca7f (このIDを非表示/違反報告)
葉月だんご(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます♪ お気に召していただけたようで何よりです! この感想を糧に引き続き更新がんばりますので、お付き合いいただけたら幸いです〜(*´艸`*) (2020年3月30日 17時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - オリジナルでいい作品を久しぶりに見つけられました! 人形たちの微笑ましい生活をこれからも見ていきたいと思います! (2020年3月15日 13時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - ぐうたら猫さん» コメントありがとうございます〜! 気に入っていただけたようで何よりです♪ ネコのぬいぐるみってカワイイですよね← (2020年1月8日 2時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉月だんご | 作成日時:2019年10月19日 12時