街の創世主3 ページ28
「おかえりなさいA。今日はどこに行ってたの?」
「……えと、カザーさんのお宅に……って、ミティ―は?」
「自分の部屋にいると思うわ。帰ってきたっきり、籠もっちゃって」
「ありがとう……ございます」
私は急いでミティの部屋へ向かった。
ミティが、クララからなにか情報を得ているかもしれないから。
「ミティ? 入るよ」
「A! いいよー」
ガチャリ、とドアノブを回し、私はミティの部屋に足を踏み入れた。
「うわー私、ミティの部屋初めて入ったかも」
「そうだっけ?」
「うん」
私たちの生活拠点はあくまでリビングだから、プライベートな空間には立ち入らないようにしている。
「……それにしても、すごいねこの部屋」
ミティの部屋は、“宝物”で埋め尽くされていた。
宝石や骨董品のような、歴史的価値があるものではない。しかし、誰もが一度は集めたことのあるものだと思う。
珍しい色の木の実。どんぐり。電気の光を浴びて薄くきらめく星みたいな石。
子どものロマンが詰まった、特別な空間。
「でしょ! ミティが全部集めたの! ミティが特に気に入ってるのはねー……」
「ごめんねミティ、その話、あとで聞くから」
「うん。先にクララの話だよね」
「……それで、クララからなにか聞いた?」
「うん」
私の質問に、彼女は首を縦に振った。
……首っていうか、頭かな。
「それは……他の誰かに話してない?」
「うん。クララが、A以外には言うなって。ミティ、うっかり誰かに話しちゃいそーだったから、お口塞いで帰ってきたの」
「……いい判断、だね」
クララも、よくこの危なっかしい子に頼んだな……とは、口が裂けても言えないが。
それはさておき、さっそく本題に入るとしよう。
「それでミティ、クララはなんて言ってた?」
「んーとね、『オレイユには気を付けて』だって。どーゆー意味だろ??」
「……え、それだけ?」
「うん! ミティは頼まれたこと全部伝えた!!」
ミティはドヤァ、と得意げな笑みを見せる。
誰がどう見ようと初めてのおつかいを終えた子どものそれ。
「……『ドゥオールの迷子』の当事者の話は?」
「あっ」
「────」
少ない情報だとは思う。
──でも。
「ありがとうミティ。これで確信が持てたよ」
「オレイユに気を付けるの? オレイユ、危険なの??」
ミティ難しーことわかんなぁい、と目を回すミティの頭を撫で、私は次の行動を実行する算段を立てた。
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葉月だんご(プロフ) - 麦カケさん» 感想ありがとうございます〜! 私も書いてるとき、主人公の正体をバラそうか隠そうか迷いました(笑) 今後の展開にもぜひ、ご期待ください(*´ω`*) (2020年12月30日 23時) (レス) id: 1261bb0f48 (このIDを非表示/違反報告)
麦カケ(プロフ) - 初めまして。人形達が持ち主だって気づいてない所がせつないです(でもそう言う設定好きです)これからどう言う展開になっていくのか気になります。無理せず作者様のペースで頑張ってください! (2020年12月30日 17時) (レス) id: ea0439ca7f (このIDを非表示/違反報告)
葉月だんご(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます♪ お気に召していただけたようで何よりです! この感想を糧に引き続き更新がんばりますので、お付き合いいただけたら幸いです〜(*´艸`*) (2020年3月30日 17時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - オリジナルでいい作品を久しぶりに見つけられました! 人形たちの微笑ましい生活をこれからも見ていきたいと思います! (2020年3月15日 13時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - ぐうたら猫さん» コメントありがとうございます〜! 気に入っていただけたようで何よりです♪ ネコのぬいぐるみってカワイイですよね← (2020年1月8日 2時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:葉月だんご | 作成日時:2019年10月19日 12時