人形の街２ ページ2
目を覚ますと、最初に視界に映ったのは天井だった。
それと──猫？
「オレイユさん、新入りさんが起きたー！」
いや、猫が人間の言葉を話す訳がない。しかもこの猫、頭が少々頭でっかちではないか？
第一、服を着て二足歩行をする猫など聞いたことがない。
その猫は、ドアの向こうの部屋へ行ってしまった。
一人になり、しんと静まり返る部屋。
「ここは……？」
私が発した声は、まるで自分のものではないようだった。以前ハスキーボイスと友人に言われたほど低い声ではなく、鈴が鳴るような、可愛らしい声。風邪でもひいたのか？ だったら余計低い声になるような──
「あらほんと。目を覚ましたのねぇ新入りさん」
「ミティの言う通りでしょ」
ガチャリとドアが開き、ウサギ──こちらも頭でっかち──と猫が部屋に入ってきた。
どうやら、猫はミティという名前らしい。
オレイユと呼ばれたウサギは──何か見覚えがある、気がする？
「新入りさん、もう身体は大丈夫？」
「はい……あの、ここは……？」
恐る恐る尋ねた私に、
「そっかぁ、新入りさんだものね」
と妙に納得した様子。
だから新入りってなんだ。
「順番に説明するわ。ところでコーンスープを持ってきたの。起きられる？」
「はい。ありがとうございます……？」
礼を言い、身体を起こそうとすると。
身体に違和感を覚えた。動かした腰に、足に、腕に。一体──？
「え」
見れば、膝には球体が。
腕は長袖を着ていて分からなかったが、布団を捲った膝にあるのは、どこからどう見ても、球体。
「はいどうぞ」
パニックに陥りかけていた私を我に返らせたのは、オレイユ。
その手には、熱々のコーンスープが注がれたカップが握られている。
「あ……りがとうございます」
「それじゃあ、話をするわね」
オレイユは切り換えが早いらしい。パンッと手を叩き、何から話しましょうか、とミティに相談する姿は、さながらベテラン教師のようだ。
「まず、ここがどこだかわかる？」
彼女の質問に、私は首を横に振る。
出来るだけ声を出したくなかった。自分が今どんな姿かはわからないが、自分の声が鈴の音のような可愛らしい声に変わっていたら、誰でも驚くだろう。その声を認めるのが怖くて。自分が自分でなくなってしまいそうで。
「ここは、人形の街、シュピールツォイクカステン」
オレイユの口から聞き覚えのある単語が飛び出る。
「「ようこそ、新入りさん」」
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葉月だんご(プロフ) - 麦カケさん» 感想ありがとうございます〜！ 私も書いてるとき、主人公の正体をバラそうか隠そうか迷いました（笑） 今後の展開にもぜひ、ご期待ください(*´ω`*) (2020年12月30日 23時) (
レス) id: 1261bb0f48 (このIDを非表示/違反報告)
麦カケ(プロフ) - 初めまして。人形達が持ち主だって気づいてない所がせつないです(でもそう言う設定好きです)これからどう言う展開になっていくのか気になります。無理せず作者様のペースで頑張ってください！ (2020年12月30日 17時) (レス) id: ea0439ca7f (このIDを非表示/違反報告)
葉月だんご(プロフ) - 千々さん» コメントありがとうございます♪ お気に召していただけたようで何よりです！ この感想を糧に引き続き更新がんばりますので、お付き合いいただけたら幸いです〜(*´艸｀*) (2020年3月30日 17時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - オリジナルでいい作品を久しぶりに見つけられました！ 人形たちの微笑ましい生活をこれからも見ていきたいと思います！ (2020年3月15日 13時) (レス) id: df88b28f21 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - ぐうたら猫さん» コメントありがとうございます〜！ 気に入っていただけたようで何よりです♪ ネコのぬいぐるみってカワイイですよね← (2020年1月8日 2時) (レス) id: 3d624ae683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉月だんご | 作成日時：2019年10月19日 12時
