ご飯は大事 ページ8
最初に案内された部屋に着き、机に紙と筆を用意してある作業を始めた。
三郎に食堂に行くように言われたが、Aは全く乗り気ではなかった。
三郎や兵助、伏木蔵など事情を知っている人達がいるなら話は別だが、おそらくこの学園はその人数を上回る。
そもそも先程伊作に殺されかけたばかりだ。
殺されかけたばかりなのに易々と大衆の中へ行くほど肝は据わってない。
(……二度も刺されて死ぬのは御免だ)
もちろんそれだけが理由ではないが。
今日の夜は食べないでいいか、と育ち盛りの歳には似つかわしくない思考が頭をよぎる。
彼女は14歳。
室町の時代なら大人とみなされる年齢だが、彼女が生きた時代ではまだまだ子供の歳なのだ。
今までの天女達なら成人していたかもしれないが、彼女は顔を見られていないので年齢の判別が難しい。
立花仙蔵に年齢を聞かれた時も答えなかった。
だから彼らはAの年齢を知らない。
まだ14歳だということに対しての配慮は、出来るはずがないのだ。
少なくともその配慮があれば、先程の伊作のようにいきなり苦無を向けたりしないだろう。
Aとしては配慮してほしいというわけでもないが。
半ば無理矢理にこの学園に連れて来られたというのに、勝手に誤解されて勝手に殺しにかかってくる。
こんなに理不尽なことはない。
(……それでも放っておけないのは……＿＿＿)
考えれば考えるほど頭が痛くなってくる。
これ以上考えるのはやめた。
コンコン
「……？」
「鉢屋です。入ってもよろしいでしょうか？」
襖を軽く叩く音に気づくと三郎の声が聞こえた。
念のため匂いで確認すると、確かに三郎の匂いがする。
それともう1人、知っている人の匂いが。
「……どうぞ」
筆を片付けて返事をすると襖が開き、三郎ともう1人、同じ学年の久々知兵助が入ってきた。
「ご飯はちゃんと食べないとダメですよ」
「先程のことがあったので行きづらいでしょうと思って、持ってきました」
三郎の両手は、一人分の食事が乗ったお盆を持っていた。
「………私の？」
「他に誰がいるんですか」
冗談なのか真面目なのかわからないAの質問に、三郎と兵助は軽く笑った。
持ってきた食事は美味しそうなものばかりだ。
ほかほかのごはんにまだ湯気が上がっている味噌汁、栄養バランスが取れているおかず。
2人の善意にも一度出されたご飯も無下には出来ないAは、用意されている箸を持った。
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HANON(プロフ) - 不透明どろっぷ。さん» ありがとうございます。更新はめちゃくちゃ不定期なので、ふと思い出した時に見ていただけたら嬉しいです。 (2月8日 23時) (
レス) id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
不透明どろっぷ。(プロフ) - 3年ぶりくらいに見てみたら結構進んでた…！今見返してみたからこそわかるネタとかも結構あって面白かったです。続き楽しみにしてます。 (12月22日 23時) (レス) @page25 id: f6e73ed9d2 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - あまねさん» 見つけてくれてありがとうございます (11月5日 12時) (レス) @page24 id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すきやっと見つけた (10月25日 20時) (レス) @page24 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - 凪疾さん» 頑張ります！コメントありがとうございました。 (10月22日 23時) (レス) id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：HANON | 作成日時：2019年9月26日 23時
