番外 HAPPY HALLOWEEN1 ページ17
「ハローインド？」
「ちゃうわ」
赤茶の短髪を額で分けた少女は、息巻いて「ハロウィンやって！」と子供の聞き間違いを正した。それを聞いた白髪の子供は考え込むように眉を寄せた。
「何だそれは」
「やっぱ知らんと思ったわ。ハロウィンってのはなぁ──」
公園で遊ぶ子どもの集団の仲間に入れてもらって以来、何かと此方を気にかけてくる少女──文(あや)の説明を聞き、子供は真黒な目を瞬かせた。
曰く、西洋から伝わった祭りである。
曰く、童がお化けの仮装をし、知り合いの家にお菓子を強請りに行く日である。
「んで、お菓子をくれへんかった家には悪戯しても許される日や。あ、でも度が過ぎたヤツは駄目やで？ 植木鉢こっそり動かすとか、そういうのならええんやけど」
「眼鏡を隠すのは？」
「うーん……まあアリやな」
子供はきらきらと目を輝かせて文を見た。菓子を貰えて、合法的に人に悪戯ができる日。素晴らしいではないか。
「良いことを聞いた。ありがとうな、文」
「Aもう帰るん？ おおきにー」
子供は腰を下ろしていた公園の長椅子から立ち上がり、文にひらりと手を振って駆け出した。
□□□
「国木田さん、はろーいんどだ」
「……？ ハロウィンの事か？」
国木田のベストを掴み、期待の眼差しを向ける子供を前に暫く考え、国木田は無事正解に辿り着いた。
「菓子をくれ。もしくは眼鏡をよこせ」
「断る」
国木田は溜息を吐き、真実を告げるべきか暫し迷ったが、結局眼鏡の蔓を押し上げて探偵社の壁に掛けられた暦表を指さした。
「抑、ハロウィンは三十一日。まだ先だ」
「なんだと」
そう云えば日付までは文に訊いてなかったな、と子供は思った。つまり今日の処は菓子を強奪する事も悪戯をする事もできない訳である。
国木田と子供の会話を聞いていたナオミは、「そう云えばもう直ぐハロウィンですわね」と意気消沈した子供を慰めるように手持ちの菓子を握らせ、己の色付いた頬に婀娜っぽく手を当てた。
「今年も悪戯と称して兄様にあんなコトやこんなコト……うふふっ」
「自重せんか！ 子どもが聞いてるぞ」
「聞かれてはいけない悪戯とは何だ。国木田さん、ナオミは実の兄に何をしようとして、」
「お前はお前で喰いつくな」
子供は不満そうに国木田を見上げた。時々こうして訊いても教えて貰えない事があるのが最近の子供の悩みだ。
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麗(プロフ) - 更新されるの楽しみにしています！ (2021年5月8日 12時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
篝火 - こ、更新だーー！！水を得た魚のように、認知して！から読み返して参ります！！！ (2020年11月3日 2時) (レス) id: 77c7a84bb1 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 篝火さん» 読んでくださる人がいた…！？ひぇ〜すみません放置して 好きとの言葉嬉しいです！ (2020年11月2日 0時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
篝火 - 昨日はハロウィンだったなと思い戻って参りました。好きな作品が止まっていて悲しいです… (2020年11月1日 20時) (レス) id: 77c7a84bb1 (このIDを非表示/違反報告)
ロト - 芥川さんが幼児ちゃんに貢ぐ……と云うより交流？お出掛け？合法的に会える？日ですね。横浜のハロウィンは平和で楽しそうな感じがします。 (2019年10月29日 23時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作成日時：2019年8月25日 23時
