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※名前のあるモブ多し。
※そもそも敵組織とも言えないかもしれない。
□□□
最年長の少女──まなみ(十二歳)の場合。
「私ね、弟と妹がいっぱいてね、お母さんは三年前に死んじゃったから、私があの子達のお母さんの代わりだった。そしたらあの女の人が現れて『貴女もまだ子どもなのに可哀想』て言われて此処に」
引っ叩かれた少年──悟(十一歳)の場合。
「俺は母ちゃんと二人で暮らしててな、父ちゃんがヨウイクヒって言うのちゃんと払ってくれないからちょっとビンボーなんだ。それが可哀想って言ってあのオバサンに連れてこられた」
ぬいぐるみを抱いた少女──ミチ(六歳)の場合。
「ミチはね、ママとパパがいつもお仕事いそがしいの。いつもみたいにお家でお留守番してたらあの人が来て、ここに連れてこられたの」
物陰にずっと隠れていた少年──由紀(八歳)の場合。
「ええと、ぼくはお母さんもお父さんも居なくて……だから年の離れたお姉ちゃんと暮らしてるんです。『まだ小さいのに両親が居ないなんて可哀想』って言われて、ここに……」
気の弱そうな少年がか細い声で言ったのを最後に、皆が黙りこくる。
「さっきのお姉さんの話が本当なら、」憂い顔の少女が顔を上げ、この中では一番幼い子供を見た。
「お父さんが酷い人なの?」
子供は首を横に振った。少年が面食らったように瞬く。
「名前も考えず気が向いた時だけ世話してるって言ってたし、ロクでもなさそうだけど。俺の父ちゃんみてぇ」
「……ちがう」
「おお、初めて喋ったなお前」
少年が子供の頬を引っ張る。白い餅のようなそれはよく伸びた。ぬいぐるみを抱いた少女が目を輝かせて立ち上がった。
「じゃあミチが考えてあげるの! おモチちゃん!」
「即決すぎません!?」
気弱そうな少年が即座に突っ込んだ。少女がぬいぐるみと一緒に首を傾げる。
「そっけつ?」
「え、えと、その場で決めるっていう意味なんですが、この場合は決めるのが早すぎるみたいなそういうことを言いたくて」
「あー! ほっぺた赤くなっちゃってるじゃない、引っ張るのやめなさいよ!」
「お前が俺を叩くのはいいのかよ!」
子供は少し赤くなった頬を押さえ、首を傾げた。さっきまであれほどどんよりと暗く沈んでいた彼等の切り替えが頗る早い事を不思議に思ったのである。
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ロト - こめ(元団子)さん» こめさん、ありがとうございます!芥川兄妹と幼児ちゃんがベビーカステラもぐもぐしながら帰るのを想像したらほのぼので悶えました(笑) (2019年8月31日 17時) (レス) id: 84710b8cd8 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - こめ(元団子)さん» またリクします!「任務を頑張る芥川さんの為に、銀ちゃんに手伝ってもらいながら、夢主ちゃんがご飯を作る」というお話をお願いします! (2019年8月27日 12時) (レス) id: 59746b99e9 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - こめ(元団子)さん» こめさん、リクありがとうです!知らない人から食べ物を貰うのは良くないって、本当に思いました。農薬入りのお菓子、怖すぎる・・!夢主ちゃんが食べなくて良かった〜! (2019年8月27日 12時) (レス) id: 59746b99e9 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - ダークアリスさん» 了解です! リクありがとうございます〜 (2019年8月27日 12時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 月華さん» リクありがとうです! 書きましたけど人のじっとりとした悪意の話に…ww (2019年8月27日 12時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめ | 作成日時:2019年6月23日 22時