許して ページ5
毛布を被せる気遣いは見せてくれたが、冷たい床に転がされたことには変わらない。次会った芥川はそんなことは忘れていて、俺はその姿にちょっとだけ怒りが湧いた。
「おい、」
「……」
「聞こえているだろう」
「何も聞こえなーい」
俺も少しの間だけ芥川を無視してみることにした。不機嫌に眉間に皺を刻んだ芥川は、暫く俺に話しかけたり耳を引っ張ったり頬をつついてきたりしたけど、それも全部無視。
すると芥川は俺の真正面に周り、じっと俺を見つめた。無表情に見えるけど知ってる、これは何か企んでいる表情だ。何を企んでいるのかは全然わからないけど、なんて思った矢先、芥川のタックルを食らった俺は後頭部と背中を床に強かに打ち付けた。
「ぅぐ!?」
「A、」
芥川は俺の鳩尾のあたりに顔を埋め、何事かを呟いた。目を回していた俺はそれを聞き取れず、無視していたことも忘れ「ごめん今なんて言ったの?」と芥川に話しかけていた。痛みで怒りが吹っ飛んだ。
「……許せ」
ははあ、さては謝りたかったんだな?
少し意地悪をしてみようという気持ちになって、ずきずきと痛む心と体の節々を抑えながら「どうしよっかなー……」と曖昧な態度をとってみた。
芥川は俺ごと上体を起こすと、今度は恐る恐るといった感じで俺に抱きつく。もっと遠慮なくきて良いのに……と思っていると、芥川が決まり悪そうに目を伏せた。何か言いたげにしている。
「……何?」
「許して、欲しい」
「心が痛い! 俺も無視してごめんね!」
芥川に冷たくするなんてできなかったんや……と、涙を堪えながら芥川の痩躯を強く抱きしめた。やっぱり芥川の方が俺より背が高いので包み込むようには抱いてあげられないが、それでも俺に好きなようにさせているのは、芥川も満更でもないからだと思いたい。
ぐりぐりと頭を押し付けていると、芥川が自分の肩口辺りにある俺の頭を撫でながら、「お前、」と少し弾んだ声で言った。
「僕の事は好いているか」
そんなの答えは一択だ。
「大好きだよ」と返せば、芥川はちょっと笑って俺の頬を包み込み、唇を合わせてきた。唯一の友人には何をされても構わないと思ってる自分がいる。芥川ってちゅー好きなのかな。
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こめ(元団子)(プロフ) - ドロシーさん» 嬉しいです! ありがとうございます! (2019年10月16日 0時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
ドロシー(プロフ) - 好きです。(真顔)普通に自分の好きな小説のタイプにドストライクすぎて怖いくらい好きです。もうもっとヤってもらって大丈夫っす(鼻血)これからも応援してます!更新頑張ってください! (2019年8月9日 0時) (レス) id: 1a3258aeeb (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 鯖野郎さん» ありがとうございます どんどんヤります (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - ろもざんさん» 文面にセンスがありすぎて笑ってしまいました。更新はややゆっくりですがこの先もよろしくお願いします! (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
鯖野郎 - いいぞ もっとヤれ(真顔) (2019年5月8日 21時) (レス) id: df533e69bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめ | 作成日時:2019年1月14日 14時