合せて ページ6
芥川がよく家に泊まりに来るにも関わらず、俺の家には布団が一組しかない。
俺が小柄な方だからいいものの、窮屈であることには変わらないので、芥川用の布団を買おうとしたら本人に「要らぬ」と言われたことは記憶に新しい。
でも狭いしさあ、と一応は食い下がったが、頑なに「要らない」の一点張りだったので俺も諦めた。
まあ、そんな訳で俺と芥川は引き続き狭い寝台の上で一緒に眠ることが決定されたのだった。
「お加減いかがですかー」
「心地良い」
風呂上がりの芥川の後ろに膝立ちになり、面倒臭がる彼の代わりに髪をドライヤーで乾かしてやる。温風で水分が飛ばされ、芥川の髪がふわふわになっていくのが結構おもしろい。
芥川は大人しく膝を抱えて座っている。ちなみに芥川が今着ている寝間着は芥川が自分で持ち込んだものだ。俺の服はサイズが合わない。
こんなもんか、とドライヤーの電源を切る。乾き具合の確認もかねて芥川の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「はい、おしまい」
「ん」
ぽすんと体重を預けられる。肩に顎を乗せてみたり、頬同士を触れ合わせたりと、芥川の仕草は人懐こい大型犬を彷彿させる。ちょっと癒された。
□
布団の中は二人分の体温ですっかり温もっている。ふあ、と欠伸を零すと、隣で読書をしていた芥川が枕元の電灯を消してくれた。
ストイックな芥川の睡眠時間はかの有名な異国の軍事家と同じくらい短い。それで生活出来ていることが不思議なくらい短い。だがしかし俺は成長期の少年なので一日でもそんな芥川に合わせていたら倒れてしまう。故に芥川は俺の就寝時間に合わせて眠る。
暗がりの中、読書を中断させちゃってごめんね、という意を込めて芥川の頭を撫でた。
「おやすみ」
「……ッ、!?」
びしりと硬直した体に、ああ驚かせてしまったのかとぼんやり思う。芥川は自分からくっついてくる割には、不意打ちで触れられるとこんな風に固まる。可愛い奴め、と内心で語りかけながらごろりと寝返りを打って背を向けた。
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こめ(元団子)(プロフ) - ドロシーさん» 嬉しいです! ありがとうございます! (2019年10月16日 0時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
ドロシー(プロフ) - 好きです。(真顔)普通に自分の好きな小説のタイプにドストライクすぎて怖いくらい好きです。もうもっとヤってもらって大丈夫っす(鼻血)これからも応援してます!更新頑張ってください! (2019年8月9日 0時) (レス) id: 1a3258aeeb (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 鯖野郎さん» ありがとうございます どんどんヤります (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - ろもざんさん» 文面にセンスがありすぎて笑ってしまいました。更新はややゆっくりですがこの先もよろしくお願いします! (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
鯖野郎 - いいぞ もっとヤれ(真顔) (2019年5月8日 21時) (レス) id: df533e69bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめ | 作成日時:2019年1月14日 14時