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嚥んで ページ14

夜半遅く、中也兄さんが色々持って俺の部屋を訪ねてきた。


「さあ飲め愚弟よ」

「あいあむ未成年」

「お利口に未成年者飲酒禁止法守ってんじゃねえやマフィアがよォ!!」

「俺はこれ以上馬鹿になりたくないんだ!」


アルコールには脳を萎縮させる作用があるらしいじゃないか。
わあぎゃあ五月蝿い中也兄さんと俺の喧騒に巻き込まれた芥川の眉間にはシワが寄っていた。

中也兄さんこと彼は中原中也と言って、元は俺と同じく紅葉姐さんのところに居た人だ。幹部になった今でも兄呼びを許してくれているくらいには優しいが、酒癖が少々悪い。
くだを巻く対象を俺から芥川に移し、あれこれと勧める中也兄さんとそれを淡々と断る芥川を眺めながら、肴のつもりで出した笹かまぼこをつまむ。


「僕は結構」

「手前は20歳なンだから嚥めるだろ」

「酒精は好かぬ」

「喰わず……、飲まず嫌いは良くねえって」


断る理由を探すようにちらりと動いた芥川の目が俺を捉える。俺はそんな芥川に向かって微笑み、そっと顔を伏せた。酔った中也兄さんを止めるのは無理。ごめん。


「僕に酩酊など不要!」

「そこまで飲めとは言ってねェよ!」


このアパート、結構壁が薄いから明日は大家さんに苦情言われてしまうかもしれない。

憂鬱な事実に俺がため息をついていると、中也兄さんの「おー、イイ飲みっぷりじゃねぇか」と陽気な声が聞こえてきて少し救われた。

諦めてさっさとグラスに注がれたウィスキーを飲み干すことにしたらしい芥川は、ドン、とほとんど取り落とすようにグラスを置き、卓に突っ伏した。そしてまったく動かなくなる。


「死……………?」


微動だにしない芥川を唇を戦慄かせながら眺め、中也兄さんは困惑気味に呟いた。


「すまんA。ここ賃貸だよな? 事故物件にしちまった……」

「謝るとこそこなの非情すぎて笑う」


呼吸音はきちんと聞こえるので芥川は生きている。酔った中也兄さんがそれを分かっていて冗談を言っているのか否かは定かではない。肩を揺すり、「芥川」と声をかけると、返事の代わりに呻き声が聞こえた。


「おお起きた。水飲、むっ?」

「ん、」


一度離れた口は、ペロリと俺の唇を舐めてからまた重なった。何度も啄み、俺を押し倒さんばかりにそれを繰り返す芥川と、床についた手に力を入れて耐える俺。そろそろ腕がプルプルしてきた。



中也兄さんは「マジかよ」と青ざめた顔で此方を見た後、覚束無い足取りで帰ってしまった。大丈夫かな。

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こめ(元団子)(プロフ) - ドロシーさん» 嬉しいです! ありがとうございます! (2019年10月16日 0時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
ドロシー(プロフ) - 好きです。(真顔)普通に自分の好きな小説のタイプにドストライクすぎて怖いくらい好きです。もうもっとヤってもらって大丈夫っす(鼻血)これからも応援してます!更新頑張ってください! (2019年8月9日 0時) (レス) id: 1a3258aeeb (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - 鯖野郎さん» ありがとうございます どんどんヤります (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(元団子)(プロフ) - ろもざんさん» 文面にセンスがありすぎて笑ってしまいました。更新はややゆっくりですがこの先もよろしくお願いします! (2019年5月25日 23時) (レス) id: a3e8a2be57 (このIDを非表示/違反報告)
鯖野郎 - いいぞ もっとヤれ(真顔) (2019年5月8日 21時) (レス) id: df533e69bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こめ | 作成日時:2019年1月14日 14時

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