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21話 ページ21

「何も聞かんのか」


それはおそらく父の事だろうとAは察した。


「……。聞いても本当のことが返ってくると思えん。ゆく先に手掛かりがあるならそれを踏まえて問いただす」

「ははァ……信用されてないな」

「“互いに”な」


そう、互いに信用などしていない。言わば利害関係にあるだけなのだ。尾形の目的などは判然としないが、Aはそう理解していた。


──暫し沈黙が流れる。


手入れの終えた銃を立てかけ、尾形は言った。


「寝ないのか?」


それを聞いたAは、火に薪をくべながら尾形に返す。


「まだ寝なくて平気だ。尾形の方こそ寝てていいぞ」


鶴見中尉の居ない任務時、Aは大方単独で行動するため、野営する際は独り浅い眠りのまま夜を過ごす事もあった。今夜もそのつもりで尾形に返答したのだが、返ってきた言葉は予想外のものだった。


「……なら、俺が眠れるようにしてやろうか?」


ニタリと笑いながら、外套の留め具を外すようにして言いやる姿に、察した様子のA。


「……くだらん。先に寝る」


Aは火に背を向け横になる。

冷静に言い放ったように見えた彼女だったが、顔には熱を感じていた。


(オヤジくさいと思わんのか)


慣れない、色気の漂う揶揄いに、少し照れてしまった事へ腹が立つA。


なんとか動揺をしずめたくて『ともかく今日は長かったな』と、1日を思い返す。


そうしている内に、うとうとと瞼に重みを感じだした。
次第にとけるような感覚になってゆく。


「──て、要らないよな?」


意識を手放す間際、そう聞こえた気がした──。

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ra(プロフ) - プスメラウィッチさん» しがない字書きにコメントありがとうございます🙇とても元気をもらえました。実はこのサイトで文章トレスされてしまっていたようで、もうここには投稿しない方針で考えています。pixi⚫︎の方などに投稿するか検討しているのでその際はお知らせいたします (1月31日 22時) (レス) id: e3ec8bd41f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続きの更新頑張って下さいね😆応援しています。 (1月31日 15時) (レス) @page26 id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ra | 作成日時:2021年5月13日 1時

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