22話 ページ22
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辺りが白み始めた頃、2人は身支度や火の始末をしてその場を後にする。
しばらく山を進んでいたかと思えば徐々に視界がひらけた。
左手には街が見える──。
(銭函の辺りだ)
銭函はニシン漁で栄えている街だ。なにせ、いつも大量にニシンが漁れるそうで“ゼニハコ”と言う地名がついたらしい。
その街を進む。
追っ手のことを考え、A達は使わなかったが、この街には駅があり鉄道がひかれている。それを横切るように進むのだ。
道中で腹をこしらえて、今より20キロほど進めば、やっと河港の街にたどり着いた。
いよいよ、件の茨戸だ──。
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出歩く人が少ないこの街に着いて早々、尾形が向かう先は理髪店だった。
“山本理髪店”──愚痴や噂の溜まり場だろう。
尾形は聞き込みがてら、髭を整えに入るという。
「中で待つか?」
「いいや、外で待ってる」
情報収集のために2人もいらないだろうと判断したのだ。
尾形は「何かあれば言え」と扉を後ろ手に閉めた。
Aは店の表で立ち、腕を組んで壁にもたれかかる。
何となく寂しげな街の様子を見ながら待っていると、なにやらどこか向こうで騒がしいのが気になった。銃声まで聞こえてくる。
すると、店の中まで聞こえていたのか、床屋の店主が表まで見にきて「またか」と呟いた。
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ra(プロフ) - プスメラウィッチさん» しがない字書きにコメントありがとうございます🙇とても元気をもらえました。実はこのサイトで文章トレスされてしまっていたようで、もうここには投稿しない方針で考えています。pixi⚫︎の方などに投稿するか検討しているのでその際はお知らせいたします (1月31日 22時) (レス) id: e3ec8bd41f (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - 続きの更新頑張って下さいね😆応援しています。 (1月31日 15時) (レス) @page26 id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ra | 作成日時:2021年5月13日 1時