ドアを使うな！ ページ28
「うわぁっ！…な、何だよ」
『まだmmgt@&mpuwj』
「本格的に何言ってんのか分かんなくなってきたな。
落ち着け。ちゃんと読むから、紙に書いて」
『3egtw'&j』
本当に私が言ったこと分かってないんだなぁ。ヤバい奴を見た時の顔してる。
〈まだ計画立ててない〉
「それは医者を呼んでからでも間に合う。ここから1番近いところの医者でも、馬車を使っても30分はかかるんだ」
い、1番近くて30分…！！
幼い頃、イナコの端から端まで走ってみた時も30分くらいだったはず…………い、いや‥考えるのはやめよう。悲しくなる…。
とにかく、そんなに時間があればお医者さんが来る前に計画は立てれそうだね。
〈分かった。引き留めてごめんね。〉
「ああ。…じゃあ、呼んでもらってくるよ」
そう言って、王子はドアから出た。いつもそのドアを使っておらず慣れていないのか、ドアが少し開いたままになっている。従者さんと王子の足音まで聞こえる。
…そういえば、王子ってそのドア使うのいつぶりなんだろう。
「……ね、そこの従者」
「はい、メア王子。どうなさいましたか……ああああぁああぁああ！？王子がこのドアを開いて外に出てきた！？！？」
「うるさ…………」
うわぁ…。
従者さんのあの反応からすると、ここ1年はまともにドアを使ってなかったんだね…。
「あのさ、あの…あいつが体調悪いから、医者呼んでくれる？」
「あいつ…？失礼ですが、どなたのことでしょうか」
「あの……あいつだよ、あいつ」
メア王子はなかなか私の名前を言わず「あいつ」「あいつ」と繰り返した。どうしてだろう。
………えっ！？
もしかして、私、名前覚えられてないんじゃ………！？
「あの…あの……っそう、イナコの姫の。あいつ」
「A様のことですか。かしこまりました。すぐに呼んできますね」
「ああ…ありがとう」
「………あ、ちょっと、お待ち下さい。そういえば」
「？」
な、なんだ…？
「この間から、この城に医者がついたと聞きましたね。その方を呼んできましょう」
「なっ！」
城内のお医者さん！？イナコにはそんなの…いや、お母様がほぼそんなものか。
……じゃなくて！
大変だ、お城の中のお医者さんだなんて、きっと遅くても10分くらいで来ちゃうよ！
「あの、さ、そ、その医者って何分くらいで来れるの？」
……いや待て、このお城、こんなに広いんだから、下手したら来るのに１時間かかったりするんじゃない？
「1分ですね」
はぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ！！！？！？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：べっこう飴 | 作成日時：2019年1月26日 0時
