しょげるな！ ページ24
あれからどのくらい経ったのかな。
なんだか体が暖かくなってきた。むしろ少し暑いくらいだ。朝が来たんだろうか。
『お腹すいたなぁ』
ネズミを食べるのは生理的にできなかった。虫も同じ。よく食べてたイナゴならいけたんだけどなぁ…。
昨日のテオの、いや、元はメア王子の、あのご飯を食べてから何も口に入れていない。
何か食べ物、落ちてないかなぁ……。
私は頭を下に下げてしょげた。
疲れたし、お腹空いたし、暑いし、……。
なんだか泣けてきた。でも、泣いても今の状況から解放されることは無い。
私は何かがまとわりついてざらざらになってしまっている腕で目を擦って涙を止めようとした。それが逆効果だったのか、もっと涙は溢れてきた。
目の前がぼやける。
うう………寂し………
……ん？
視界の中に、見覚えのある白い砂のようなものがあるのを見つけた。
私は空っぽの頭のままその砂に触れた。
もしかして、これ、
砂糖じゃない！？
『や、やったぁぁぁぁ！！これで餓死のセンは消えた！！！』
考える暇も無く、それを口いっぱいに放り込んだ。
『わぁぁぁぁぁぁい！！良かったぁ！！』
疲れすぎて味は分からないけど、とにかく食べ物にありつくことが第一だよね。なんかいっぱい落ちてるし、全部食べておこう！
私が砂糖を飲み込んでいると、じわじわと、何かが這って近づいてくる音が聞こえた。
その音が鳴った、前の方を見上げた。
驚き顔のメア王子が現れた。
『むあっ！めあおーじ』
「な…なにしてんのアンタ」
メア王子の部屋まで行こうと思ったら迷った。と伝えると、何を言っているんだと嫌な顔で言われた。
「とにかくやめなよ、それ」
『なんれすか？』
「なんですかって……砂食べてることに決まってるでしょ……」
『ふぇ、砂ぁ？』
「砂」
す、砂…？
私、砂なんか食べてないのに。私が食べてるのは砂糖なのに。メア王子は何を言っているんだろう。
私がメア王子の注意を無視して食べ続けていると、王子はあたふたして私の両腕を掴んだ。
「や、や、やめろって！おかしいよアンタ！」
おかしいのはメア王子の方だ！と言おうとした時、口の中の砂糖の食感に違和感があることに気づいた。
あ、違うこれ。これ、ただの砂だ！！
砂糖なんかじゃない！！
『………え、私…なにしてるの！？』
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作者名：べっこう飴 | 作成日時：2019年1月26日 0時
