その後 ページ33
大将と別れた後の中尉は大将の家族が住んでおり、避難準備中である惑星スプワールに任務で赴いた。だが今まで前線になった有人惑星の防衛隊は大抵殲滅されており、それは永久的な左遷と言っても良いものである。もちろん意見できるものはいない。これにより軍における陸軍の力は上がった。もちろん、統合参謀長フォンテーヌはこれでは満足しない。まだ、彼には陸軍の邪魔になる存在があったのだ。
それから数日後の今日は休日。海軍司令長官ヴァンサンと空軍最高司令官ミュレーは真っ暗な夜道を今のこと、今後のことを憂いながら歩いており、その足取りは非常に重かった。だがこれは決して彼らだけではない。陸軍のものすら不安に思うものはいた。そもそも陸軍だって狂った人間ばかりではない。とりあえずやってみる精神があるため珍兵器は開発しても他人を追い落すことを平気でするような狂人集団ではなかったのである。
「今後、どうなってしまうのだろうか……すでに支配権の半分近くを失っているというのに、参謀長閣下ときたら身内で喧嘩ばっかりやっている。不倶戴天の敵は海軍だと思っているのかもしれん……貴官はどう思われるか? 」
「地方議会も彼を支持しています……今まで被害にあった者たちはフェイクを撒き散らされてから裁かれている、国民には統合参謀長は正義のヒーローに見えているでしょう」
ヴァンサンの問い掛けにミュレーは暗然としてため息をつくように答えた。二人は同じような問答を繰り返しながら人も紛れそうなほど深い闇を抜けて行く。首都付近の山を歩いていた頃、彼らは背後や横にはっきりとしない不安を覚えた。
「早く抜けましょう」
というミュレーの提案通りに小走りで降っていった。奥で指揮している彼らにとっては些か苦痛であったであろう。近くの霊園から聞こえる虫の声を聞いて安心したのだろう。またゆっくり歩いて行った。虫の音を無くなり、しんとした暗闇を極める山ももうすぐで終わる……杞憂だったなと二人は顔を見合わせて小さく笑った。何もなくて良かった……帰ったらさっさと寝ようと思った矢先。
突如銃声。
驚いたミュレーが振り返るとヴァンサン司令長官が居なくなっていた。足を伸ばすと嫌な感触がする。彼は認めたくはなかったが、その感触でもうダメだなと直感的に感じたのだろう。彼は護身用の拳銃を構え、肉食獣を警戒する草食獣のようにあたりを見回した。
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デ・ロイテル(プロフ) - 特命さん» ご清覧ありがとうございます。そうでしたか、失礼しました。見つけ次第すぐに対処致します。本当ですか!?ありがとうございます。推敲には力を入れているのでそう言っていただけると嬉しいです。続編の方もよろしくお願いします。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
特命 - 楽しく読ませて頂いています。どこかに「機器」が「危機」になっている箇所と、助詞の「は」が重複して「はは」になっている箇所があったようです。勘違いでしたらすみません。これほどの長さの文章で2カ所だけってすごいです。続き楽しみにしています。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 3f4c6d750f (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - 次で50話ですね。キリ悪い…… (2018年10月4日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
Olivie(オリヴィエ)(プロフ) - デ・ロイテルさん» これからも頑張って!!おうおう、良かった〜……(チャット化しそうなので返信不要) (2018年9月30日 0時) (レス) id: 26b767d003 (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - Olivie(オリヴィエ)さん» いえいえとんでもない!これからも精進しなくては!嫌うなんてないで。三笠と一緒に居れるねんで?ぜーんぜん怒ってへんよ。 (2018年9月30日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:デ・ロイテル | 作成日時:2018年8月12日 0時