異常 ページ40
「牽引式噴進砲用意！」
大佐の陣地では先手を打ったこと、豪雪により視界が悪いことから大した被害を出さずに一方的に攻撃していた。だが恐れていることもある。それは空軍の動向である。海軍は例えクーデターに加担していても都市部であることからロクな攻撃はできないはずだ。だが、空軍は違う。小型の爆弾やミサイルなら精密爆撃で自軍だけを一瞬で壊滅させることができるではないか。一応、ヘリを数機飛ばしているが戦闘機や戦闘爆撃機にとってはヘリなんて敵ではないだろう。携帯型地対空ミサイルも何十セットかは持って来ているが圧倒的に足りない。そのため空軍が参加する気をなくすぐらいにさっさと鎮圧する必要があった。寧ろそれしかないのだろう。
「大佐、民間人への被害が広がっています。死傷者数知れず、警官も警視庁制圧のため、纏まった行動を取れていません。また、警視庁のマルシアル中佐の大隊が予定通り動きました。警視庁の職員もいくらかは鎮圧を開始し、警視庁奪還は秒読みとのことです」
「そうか……では、敵に降伏勧告を送れ。無論、統合参謀長には内緒だ。拒否した場合は噴進砲、迫撃砲、機銃による攻撃を開始、敵を殲滅する」
「了解！早速敵の指揮官レイモン少佐に降伏勧告を行います」
「……少尉！我らも外に出るぞ」
「エッ！大丈夫なのですか？」
「やはり指揮官が引きこもっているのは不味い。一旦始まったものは下手に逃げてはいけないと思ってな」
「わかりました」
大佐らが外に出ると、砲兵や歩兵達が機銃や迫撃砲の前でガクガクと震えていた。中には発狂して陣地の奥へ運ばれる者もいた。まともに戦争をした事がないものばかり、こうなるのも仕方ないだろう。現に大佐自体がそうなりかけている。寧ろそうならない人間はまともではない。
少し経ってレイモン少佐に降伏勧告文が送られた。少佐は今、自分たちを攻撃しているのが味方……つまり裏切られたことを知って憤りより衝撃を受けた。別に彼らは命令に従っているだけでグーチィ最高司令官兼統合参謀長への忠誠心というものは殆どない。勿論、軍人として裏切りとは悪徳とされるものであり、裏切るつもりはなかった。だが、彼らの陣地は数の劣勢、先手を打たれたことも含めて降り積もる雪をその都度赤く染め、至る所に穴が空き、人の残骸がさも当然のように打ち捨てられている。それだけでなく士官もそれ以下の者も真っ青な顔をしており、抵抗できる体制ではなかったのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
デ・ロイテル(プロフ) - 特命さん» ご清覧ありがとうございます。そうでしたか、失礼しました。見つけ次第すぐに対処致します。本当ですか！？ありがとうございます。推敲には力を入れているのでそう言っていただけると嬉しいです。続編の方もよろしくお願いします。 (2018年10月5日 21時) (
レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
特命 - 楽しく読ませて頂いています。どこかに「機器」が「危機」になっている箇所と、助詞の「は」が重複して「はは」になっている箇所があったようです。勘違いでしたらすみません。これほどの長さの文章で２カ所だけってすごいです。続き楽しみにしています。 (2018年10月5日 21時) (レス) id: 3f4c6d750f (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - 次で50話ですね。キリ悪い…… (2018年10月4日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
Olivie(オリヴィエ)(プロフ) - デ・ロイテルさん» これからも頑張って！！おうおう、良かった〜……(チャット化しそうなので返信不要) (2018年9月30日 0時) (レス) id: 26b767d003 (このIDを非表示/違反報告)
デ・ロイテル(プロフ) - Olivie(オリヴィエ)さん» いえいえとんでもない！これからも精進しなくては！嫌うなんてないで。三笠と一緒に居れるねんで？ぜーんぜん怒ってへんよ。 (2018年9月30日 0時) (レス) id: 707fc28c68 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：デ・ロイテル | 作成日時：2018年8月12日 0時
