銀河大戦争 第1章開戦

砲撃開始 ページ39

「ロベール君、敵より先に片付けるべきことがあるだろう？」

「あっ！ そうでした。一応任務を与えたものが向かっているはずです。議員らの安全は確保できるでしょう」

「では、会議室以外は？」

「あっ！」

最初の「あっ！」と今のは違っていた。最初のはいい忘れていたということで、今のはそもそも周りにまだ幾らかの部隊があることを失念していたことに気づいたものである。統合参謀長はそんな重要なことを失念するなんてありえない！ というような様子でため息をついている。

「はい、コロナ大尉、モルガード大尉、レイモン少佐の一個大隊と二個中隊が議事堂の右側を見張っています。つまり左側の見張りが我々ということです。説得してみます」

「ならん！」

統合参謀長は今までの冷静さからは伺えないほどの怒鳴り声を上げた。この時、大佐はどれだけ驚いただろうか。

「何故ですか！？彼らは首謀者に無理やり参加させられただけ、すぐに戻ってきます。罪はありません。どうかお赦しください」

「いや、反乱の芽は全て潰す。感化されてるかも知れんしな。私は怒っているのだよ。一人残らず、便所の中に追い込んででも殺してやるつもりだ。さっさと砲撃しろ」

「できません。殺さなくて済むものを殺す道理がありません」

大佐は勇気を振り絞って銃殺覚悟で言った。周りの部下たちはそわそわしている。言い返された統合参謀長は気味の悪い笑みを見せるとこう言った。

「そうか。ならばいい。君だけでなく、部下も君の家族も皆、クーデターに加担したとして死刑にするまでだ。言っただろ？ 一人残らず殺す。反乱の芽は潰すと」

大佐にこれ以上言い返す気力はなかったのであろう。静かに砲撃開始を伝えると陣地の奥へ消えていった。顔を抑えて、後ろめたそうに歩いていたそうだ。

砲弾は突如として少佐らの陣地を叩いた。即席とはいえ陣地であるからすぐには潰れない。だが、そんなことよりなぜか砲撃を受けているという精神的ダメージが大きかった。わけもわからずに砲弾のきた方へ砲撃を開始した。天候が悪く、敵陣が見えないことや大した火器を持ち込んでいないことから砲弾は他の施設や住居にも飛んだ。警官や消防が出動し、民間人は勝手な方向に逃げ回って、地面に落ちたガムのように踏まれたものも多くいたという。火が飛び回り、都市機能はどんどん掻き回されて行った。

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