19 誤解 ページ24
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翌朝悟くんの腕の中で目が覚めた私はそりゃもう呼び出しをくらって朝礼前に二人して怒られた。
この学校で私達の関係性を知らぬものはいないと思うが許嫁云々と事情がある以前に私たちはれっきとした学生だ。
放課後、悟くんのお使いで自販機前に行くといつものように煙を蒸している硝子先輩に会う。今日暑いですね、7月だしな、パンケーキどうだった?、それが……等といわゆる世間話をしているうちに話題は今朝私たちが呼び出された件になった。
「あ、ゴムはしろよ」
『ゴッ……!』
驚いてボタンを押し間違えてしまい、ガコンと音を立てて落ちてきたのは缶コーヒー(あったか〜い)。ちなみに本日の東京の気温は30℃。この暑いのに誰が飲むと言うのだ。
まさか悟くんとの関係性が側から見てそこまでのものなのか、と考えもしなかった未知の世界に急に投げ込まれて手に握られたコーヒーの熱が伝わってか顔が熱くなる。
『硝子先輩……まだそこまでは……』
「え?」
経験ないとは言えど硝子先輩が何を指して何を言っているのかは流石にわかる。
硝子先輩は咥えていた煙草を指に挟み何かを考えているのか一点を見つめた。たまにこの先輩は突拍子のない発言をすることがある。次は何を口にするのだろう。蝉の音が遠くなり、ざわざわと風が吹いた。
「……マジか。アイツすげぇな」
『よ、嫁入り前にそんな……!破廉恥です!』
「あのクズ腐っても良家出身だわ……」
良家云々置いておいても私のこの感性は当たり前ではなかったのか。都会のJKはみんな当たり前に進んでいるのか。ここに来て何度受けたかわからない数度目のカルチャーショックである。
私は今度こそはと悟くんに頼まれたスプライトのボタンを押す。ついでに続けて自分の分もと同じものを買いその二つを片手に持つ。左手はつめた〜い。右手はあったか〜い。
『都会怖い……』
「何だ。もうとっくに手出されてるかと思った」
『ないです!本当に!これっぽっちも!』
「しょーこ、あんまAのこと揶揄うなよ」
少し食い気味に反論するのの自販機前で項垂れていると上から長い影が覆いかぶさった。頭に置かれた掌は目を閉じていても誰のものかわかる。
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真理亜 - 夢主と誕生日一緒なんだか!好きぴと誕生日一緒💕 (1月22日 19時) (レス) @page5 id: 2ba0617eeb (このIDを非表示/違反報告)
エンドラーク(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!!パスワード保護されてる小説はもう見れないのでしょうか….. (2022年8月22日 1時) (レス) id: 716a03fe49 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - がんばってください、陰ながら見守ってます(*´˘`*) (2021年3月22日 18時) (レス) id: 2bbd9ff8c5 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - 美波さん» ありがとうございます!頑張ります! (2021年3月20日 9時) (レス) id: ef0eaf48d3 (このIDを非表示/違反報告)
美波(プロフ) - めちゃくちゃ好きです...(;_;) 更新頑張ってください!! (2021年3月19日 8時) (レス) id: 1b90c873e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2021年3月13日 22時