15 アリスの本質 ページ16
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「お、アリス。今からエースたちとタルト作るんだがお前も来るか?」
放課後、校舎でトレイくんに会い声を掛けられる。
どうやらエースくんたちと一緒にお詫びのタルト作りをするらしい。
『あー…僕は遠慮しておくよ。
ケイト先輩のせいで無駄に魔法使っちゃったから…』
「そうか。あんまり無理するなよ」
『トレイくんは心配性だなあ…大丈夫だよ』
【アリス】の姿は薬の服用による仮の姿だ。強い魔法の負荷がかかっている今、通常時より必然的にブロットを蓄積させやすい体質になっている。
よく寝てよく食べてストレスを溜めないことがブロット解消の一番の近道。私は自室にて最低限の課題を終わらせて寝る準備に取りかかり始めた。
自室のシャワールームから出て鏡に移る自分の姿を見る。濡れた金髪が肩から垂れて男性時より身体は二回りくらい小さい。
鼻歌を歌いながら寝巻きに腕を通して髪を乾かした後入学時から肌身離さずつけている水晶玉のネックレスを付け直す。
薄くピンク色のモヤがかかっていたが、今日十分な睡眠を取れば明日にはまた透明になるだろう。
勉強机で体調の変化や水晶玉の色、薬の摂取量などを専用のノートに記す。
筆を置いたところで部屋にコンコン、とノックが響く。油断していた。まさか来客なんて想像もしていなかった。
(この状況で人が来るのはまずい…)
しかしそんな心配も杞憂でボクだ、と扉越しに幼馴染みの声が聞こえた。
部屋の中へ入れると昼間とは変わって見上げたところにリドルくんがいた。
「もう寝るのかい」
『ケイト先輩にこき使われちゃったからね』
「ケイトも困ったものだね…
はい。これキミが先生に質問しようとしていた箇所、解説と共にまとめておいたから」
そう言って渡されたのは達筆なリドルくんの字で書かれたB5サイズのノートだった。
『わ、いいの!?ありがとう!』
「ボクは寮長だからね。
…それに、復習も兼ねられたからこのくらいお安い御用だよ」
私は自分の勉強で精一杯なのに、他人にノートを作って渡すだなんてさすが学年首席。凄すぎる。
いつもより何トーンも高い声でお礼を言う。
「寝る前にすまなかったね。それじゃ、おやすみ」
『おやすみリドルくん…あ』
彼が部屋から出て行こうとしたところで引き止める。私は気まずくて苦笑いを含んで俯きがちに下の方で手を組んだ。
『あのね、新入生の子にもうちょっと優しくしてあげてほしいな』
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桜雪(プロフ) - マリア・クイーンさん» コメントありがとうございます。わぁぁそれは嬉しいです!え、むしろ全然うちの子使ってやってください!もし完成したら拝見させていただき気持ちさえあります!これからも頑張りますね!ありがとうございます。 (2020年8月2日 8時) (レス) id: ef0eaf48d3 (このIDを非表示/違反報告)
マリア・クイーン - 一応確認さして頂きました。これからも頑張って下さい。 (2020年8月2日 5時) (レス) id: 30966058e4 (このIDを非表示/違反報告)
マリア・クイーン - とても素敵でした。これからも何度か読みたいと思います。あと、私のオリキャラちゃんにユニーク魔法とクイーンという名字を真似してつけても良いですか?、小説や、漫画を投稿する訳ではなく、ただ単に自己満で描いたオリキャラちゃんなので、転載などはしないのですが (2020年8月2日 5時) (レス) id: 30966058e4 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - 由瑞さん» うわぁぁありがとうございます!頑張ります!!! (2020年7月12日 2時) (レス) id: ef0eaf48d3 (このIDを非表示/違反報告)
由瑞 - リドル君可愛よ…凄く面白かったです!更新頑張ってください! (2020年7月12日 0時) (レス) id: 8d4739ba12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2020年5月5日 22時