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鍾愛 12 ページ13

「ごめんね…お待たせ…」


珍しく息を切らして肩で呼吸をしている太宰さんは整った顔立ちを歪めて途切れ途切れに謝罪した。


その顔を見て安心した。


(良かった…ちゃんと来てくれた。)


数十分前、私の約束なんかどうでも良くてすっぽかしてしまったのかという考えが頭をよぎった。
確かに太宰さんは遊び方が荒いし、他の女性に対する態度は知らないけど私の知る太宰さんは優しい人だ。


『大丈夫です。太宰さんなら来るって、ちゃんとわかってましたから』


そう云って微笑むと太宰さんは心なしか嬉しそうな顔をした。


「行こうか」


そう云って手を差し出した太宰さん。
不思議。私たちは恋人同士ではないのに私はその手を取った。骨張った自分より一回り以上大きい手に温かさと幸せを感じて歩く。


私は相当彼の熱に浮かされている。



_________



暫く街の中を歩く。すると太宰さんが不意に口を開く。


「そう云えば…今日の装い、君にしては珍しいね」

『あ…変ですかね』

「そんなことないさ、凄い似合うよ。君らしいんじゃないかな」


嬉しくて照れる。こんな事だけで照れてしまう私はもう末期ではないのだろうか。熱くてギュッと握る手の力を強くした。

俯いて歩いていると、またその視界に映る彼の服装が違うことに気付いてバッと顔を上げて覗き込む。
紺色のジーンズに、灰色のシャツ。その上から薄手の紺色のロングコートを着ている。


待って。…信じられない程格好いい。


すると太宰さんは笑う。


「なかなか有難い褒め言葉だよ」

『えッ、口に出てました!?』

「そりゃもうバッチリと」


最悪だ。私の好意が彼に知られてしまって引かれないだろうか。隠せ、私。
そう念じても、太宰さんにはバレバレだったと知らない私は愚かである。


そうして歩いているとお洒落なイタリアンレストランに着く。
女性に人気らしいカジュアルレストランで、中の客はカップルや女性がダントツ。テラス席に案内されると観葉植物と暖かく差し込む日の光が気持ち良い。


私はなにを頼むか迷い、女性人気No. 1と書かれたサーモンとアスパラガスのレモンクリームスパゲティとアイスティーを頼む。太宰さんは海老と蟹のトマトのスパゲティを頼んだ。

太宰さんは此処のティラミスが絶品だと追加で頼んでくれた。


『ふふ、そんなに食べれますかね』

「なら半分こする?」

『はい』

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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あい - ??? (1月29日 23時) (レス) id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新中でしょうか?ワクワクです (1月29日 20時) (レス) @page43 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - これ太宰さんどうなっちゃうんでしょうか……あと文才ご凄くありますね! (1月22日 11時) (レス) @page31 id: 68fda9e290 (このIDを非表示/違反報告)
- こういう系あまり読み続けられないんですがこれは一気に読めちゃいました…!文章能力すごい高いですね…尊敬…更新待ってます!頑張ってください! (8月26日 15時) (レス) id: efb8355445 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - こういう物語って大体中也ポジの人は振られちゃうので、この展開メッチャ好きです!私が中也推しなのもあるかもですけど、wとにかく更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 3時) (レス) @page42 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜雪 | 作成日時:2020年1月25日 21時

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