鍾愛 2 ページ2
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「Aさん。今晩どうですか?」
ポートマフィアに呼び戻され軽い点検作業を終えると西野さんが珍しく晩酌の誘いをしてきた。
今日は中也さんは首領と紅葉姉さんと呑むらしいので私も私で樋口ちゃんと呑みに行く約束をしていた。
『.......西野さんが誘ってくるなんて珍しいですね』
「今日は勝利の日でしょう?少しくらい呑んでもバチは当たらないですよ」
こんな事が発端だった。
ので、幾ら私が拒否しようともアルコールが入ってしまえばもう理性というものはない。例の如くガールズトークと云うものに発展し、ペラペラと内情を吐かされる。
…本当、この二人といるとろくなことが無いのだ。
「Aさん、本命の太宰さんと一つ屋根を共にしたと報告書にあったのですがどうなのですか」
酒に強い西野は三杯目だというのに顔色一つ変えずに、果実酒にくるくると空気を含ませながら聞いた。
『何で其れ皆知ってるんですかぁ、職権乱用ですよそれ......』
「キャー!Aちゃん、もしかして一線を超え」
『てない』
樋口も酒が入っていてかなりハイになっていたがそれ以上に真ん中でべろべろに酔っ払ってるのは紛れも無くAだった。
『接吻ならしそうになったんだけど_______』
先ほどの経緯を話すと疲れていたのか、珍しく酔っていたのか西野はいつもの高潔さはなく普通の女子のように茶化す。
「本部からの連絡と彼氏のどっちが大事なのよ」
『太宰さんは彼氏じゃないですぅー』
樋口はAの方を向き、箸を止める。
「じゃあ、中也さん?」
『何でそうなるの…中也さんは上司』
「ぜぇーったいそれ以上の関係だと思うんだよねぇ、私」
酔っていれどきっぱりと云い切るAに心底樋口はがっかりして口を尖らせたががまたも西野が隣で爆弾発言を落とした。
「気持ちのすれ違いに気づかないのは愚かよ。さっさと告ればいいのに…大体、16で太宰さんとそれなりに進んでいたじゃない」
『うわー!それ禁句です!下品ですよ!大ッ体、なんで西野さんが知ってるんですかぁそれ!』
「女の勘よ」
あっさり認めるんだ、と樋口は心中で思った。
樋口自身も同じ組織の上司に恋心を募らせている身としてそれを少し羨ましく思った。
『だって、無駄に権力使ってくるし.......格好いいし、格好いいし、格好いいし』
「ベタ惚れ.......」
三人とも酒が回っているためもはや止める者もいない。
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あい - ??? (1月29日 23時) (レス) id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新中でしょうか?ワクワクです (1月29日 20時) (レス) @page43 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - これ太宰さんどうなっちゃうんでしょうか……あと文才ご凄くありますね! (1月22日 11時) (レス) @page31 id: 68fda9e290 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - こういう系あまり読み続けられないんですがこれは一気に読めちゃいました…!文章能力すごい高いですね…尊敬…更新待ってます!頑張ってください! (8月26日 15時) (レス) id: efb8355445 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - こういう物語って大体中也ポジの人は振られちゃうので、この展開メッチャ好きです!私が中也推しなのもあるかもですけど、wとにかく更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 3時) (レス) @page42 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2020年1月25日 21時