鍾愛 31 ページ32
『芥川くん、後は任せた』
芥川くんが猛者を始め私のなぎ倒した敵を片っ端から異能で貫く。血溜まり、肉塊。中々にグロテスクな為私はうっと口元を押さえる。
あっという間に三十人程の敵全員を消滅させてしまう。
「死体くらい慣れろ」
死体の山をみると私のせいで命を落とした部下を思い出す。押し黙る私に対して芥川くんは呆れた様に眉頭を寄せてため息をついた。
「怪我はしてないだろうな」
『…え?あ、うん…平気。芥川くんは?』
「その様な奇問、僕にとって愚にもつかぬ」
私は少し…否可也驚く。以前の芥川くんは私が怪我をしても鈍臭いと置いて行ってしまう位だった。
そんな彼に真逆怪我の心配をされるとは思っていなかった。
『…どうしたの?』
「貴様を傷つけたら中原幹部が黙っていないからな」
『そ、そう云う事…?』
中也さん、こんな職業なのに過保護過ぎじゃ無いのか。大事に思ってくれるのは嬉しいが私の要領が悪いあまりに心配をかけているようで申し訳ない。
行くぞ、と云われて私も追う様にして数歩進んで気付く。
(交際報告したのって、つい先核だったのに…)
_________
「…貴様の異能の使い方は中々に狂気を感じる」
『狂気って…いつか芥川くんの夢にも出てあげようか?』
「遠慮する」
彼のトラウマってなんだろう、そんなことを考えながら拠点のビルの自動ドアをくぐって並んで歩く。黒服の部下が私たちを見てお辞儀をしていく。
入り口の直ぐ側で樋口ちゃんが芥川くんの帰りを待っていた様で前に出てきてお辞儀をする。
「櫻田準幹部、芥川先輩。任務お疲れ様でした」
『ありがとう。樋口ちゃんもお疲れ様』
彼女は友達だが仕事の時はこうして敬語を使ってくる。今は慣れたが最初は変な感じだった。
「…あ、中原幹部がお呼びでした。帰り次第直ぐ向かう様にと」
『中也さんが?』
「はい。何でも、"心配"だそうで」
『ええ…』
矢張り過保護だ。報告の前にシャワーを浴びたかったのでちょうど良い。先に執務室に荷物を置きに戻ろうと考えていると仕事中にも関わらず樋口ちゃんはニヤニヤしてた。
その表情からは「Aちゃんの惚気、沢山聞かせてね」と云う事が読み取れた。流石友人である。
『後で、ちゃんと報告しマス』
「勿論です!」
キラキラと目を輝かせてる樋口ちゃんと少し呆れ気味な私。そんな私たちを芥川くんはちらりと一瞥してこう云った。
「…女子とはよく分からぬ」
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あい - ??? (1月29日 23時) (レス) id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新中でしょうか?ワクワクです (1月29日 20時) (レス) @page43 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - これ太宰さんどうなっちゃうんでしょうか……あと文才ご凄くありますね! (1月22日 11時) (レス) @page31 id: 68fda9e290 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - こういう系あまり読み続けられないんですがこれは一気に読めちゃいました…!文章能力すごい高いですね…尊敬…更新待ってます!頑張ってください! (8月26日 15時) (レス) id: efb8355445 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - こういう物語って大体中也ポジの人は振られちゃうので、この展開メッチャ好きです!私が中也推しなのもあるかもですけど、wとにかく更新楽しみにしてます! (3月25日 3時) (レス) @page42 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2020年1月25日 21時