鍾愛 ３０ ページ31
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今回の報告書は殆ど部下に纏められていて此れといって特に仕事がなかった。
生憎私は任務に関する記憶が殆ど無い。どれだけ思い出そうとしても横田に肉体的に拷問を受けた所迄思い出したところで酷い頭痛に見舞われる。
首領も無理に思い出す必要はないとの事で、記憶を掘り起こすのは時間が解決するほか無いとの結論に至った。
いつもの様に書類整理、作成をして、確認印を押して提出する。
『中也さん。珈琲お持ちしました』
「ん。そこ置いておいてくれ」
『わかりました』
「有難うな」
お付き合いを始めて前と少し変わったことと云えば、今までは準幹部用に与えられていた部屋で仕事をする時間が殆どだったが最近は中也さんの執務室で仕事をする事が多くなった。
真剣な顔つきにかっこいいなぁと終始頬が緩みっぱなしだ。気がついた時に頬を叩いて気を取り直すがやっぱりかっこいいものはかっこいい。もっと緊張感を持たなくては。
と云うのが近況である。
「最近貴様が以前に増してだらしが無いのは色恋にうつつを抜かしていたからなのだな」
『だらしが無いなんて失礼な…！ちゃんとやってるよ…たぶん…』
芥川くんとは廃工場を歩いている。こんな世間話を敵のアジトでするなど緩みすぎだろう、と突っ込まれそうだが芥川くんは隠密行動に向いていない。私の異能でサポートしつつもはや正面から入り片っ端から片付けていくのが私たち二人のスタイルである。
つまり、私たちの異能性格ともに相性が良い。
「お前が愚者である事は変わりは無い。これ以上組織に不利益をもたらすなら早々に去れ」
『善処します…あ』
いつもの様に芥川くんの皮肉を軽く受け流すと足音が聞こえて来る。聴覚を研ぎ澄ませて敵の数を判断する。
『…背後から八、右に六、左に五』
「云われずとも承知の上だ」
私が囮になって芥川君の身を隠しつつある程度は敵の動きを予測して捌く。ちょうど良い身体慣らしである。
「オラァッ」
『わっ』
と云っても捌ける程度で体術に長けている訳では無い。避けては肘で鳩尾に攻撃を与えるなど、いかに力を使わずにダメージを与えるか…これが重要である。
「ッヒィ、ゆ、許してくれ…」
異能で相手のトラウマに漬け込むのも効果的だ。これはまァ、軟弱意気地無しの敵にしか通用しない。
「…俺らを甘く見ると痛い目にあうぞ」
その為、体格も良い屈強な男が立ち憚る。持ち前の小柄さと身軽さを利用して彼の隙をついて逃げる。
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あい - ？？？ (1月29日 23時) (
レス) id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新中でしょうか？ワクワクです (1月29日 20時) (レス) @page43 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - これ太宰さんどうなっちゃうんでしょうか……あと文才ご凄くありますね！ (1月22日 11時) (レス) @page31 id: 68fda9e290 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - こういう系あまり読み続けられないんですがこれは一気に読めちゃいました…!文章能力すごい高いですね…尊敬…更新待ってます!頑張ってください! (8月26日 15時) (レス) id: efb8355445 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - こういう物語って大体中也ポジの人は振られちゃうので、この展開メッチャ好きです！私が中也推しなのもあるかもですけど、wとにかく更新楽しみにしてます！ (2023年3月25日 3時) (レス) @page42 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜雪
| 作成日時：2020年1月25日 21時
