鍾愛 24 ページ25
「嗚呼、私は優しいからね。今すぐ君を殺すなんて事はしないさ。余興も大事だからね」
横田の手がするりと私のドレスの中に容易く侵入し、おお物騒だと目を細めてホルスターを外される。
『私は死にませんわ』
「そう強気でいられるのも今の内だよ」
力の限り睨みつけるとその瞬間脹脛を切りつけられる。血が脈拍に合わせてどくどくと溢れる。激痛に呻き声を漏らし顔を歪めた。
「ククッ……いいね。威勢を張る人間が苦痛に壊れていく姿は実に面白い!」
落ち着け、私。先ずは現状を把握しろ。私の打った弾が効かない。そして私は拘束されている。なぜ弾が効かないのか、彼の異能に関係しているだろう。そして此奴の狙いは私を殺すだけのことなのか否か_____
_________
「……A?どうした?」
「……ポートマフィア幹部殿。久しいね」
「あ?手前………横田か?」
突然Aから通信が来て、俺は戦闘を一時回避すべく戦場を走っていた。抑も、仕事中にAが連絡をしてくる事なんて特例中の特例で緊急事態だと察せざるを得なかった。
だがそこから発せられた声はAの声ではない男の声に思わず低い声が出る。
「今から24時間後、君の寵愛している部下は死ぬ」
『中也さん、彼の発言は出鱈目です!此処は私一人で_____ッうぁ゛』
「…は?手前Aに何してやがる」
通信機の遠くから鈍い呻き声が聞こえる。気づくと地面はみしりとヒビが入っていた。
そんな俺たちの現状を弄ぶかのような敵の態度に自分の発した声からは明らかな憤怒の色が窺えた。自分の部下、そして想い人を傷つけられた怒り。
「ふふ。知りたいかね」
その直後Aの叫び声にも似た悲痛な声が聞こえてくる。今、通信機越しの彼女はどれだけ酷い目にあっているのか。想像しただけでも気が狂いそうだった。
「オイ。Aを解放しろ」
「そりゃあ出来ない頼みだよ」
「…手前の望みは何だ」
「簡単な話さ。後24時間で君の補佐は死ぬ。それまでに君が直接此処に赴いてくれればそれで十分だ」
目的はおそらくポートマフィアの破滅。だが此奴も傘下組織で上手くやってきただけの事はある。横田の異能は厄介だ。他の奴とは一味違う。
「手前は俺が絶対ブッ殺す」
「楽しみにしてるよ」
その声を最後に通信は途絶えた。怒りから手に収まる通信機が一瞬のうちに粉々になる。
地面が割れ、風が吹き荒れあらゆる物質を引き寄せる。
____________「重力操作」_____
1977人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あい - ??? (1月29日 23時) (レス) id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新中でしょうか?ワクワクです (1月29日 20時) (レス) @page43 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - これ太宰さんどうなっちゃうんでしょうか……あと文才ご凄くありますね! (1月22日 11時) (レス) @page31 id: 68fda9e290 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - こういう系あまり読み続けられないんですがこれは一気に読めちゃいました…!文章能力すごい高いですね…尊敬…更新待ってます!頑張ってください! (8月26日 15時) (レス) id: efb8355445 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - こういう物語って大体中也ポジの人は振られちゃうので、この展開メッチャ好きです!私が中也推しなのもあるかもですけど、wとにかく更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 3時) (レス) @page42 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜雪 | 作成日時:2020年1月25日 21時