鍾愛 22 ページ23
気まずさが拭えないまま、間も無くして中也さんは緊急任務に出た。
何と其れはポートマフィア傘下企業の社長が利益を持ち逃げしたとの事で、裏切り者は雲隠れしているもののマフィアの情報網を駆使して特定班がすぐに居場所は突き止めた。
灯台下暗しとはよく云ったものでその場所は国内…しかも九州の方だ。何れ渡米するとの事でそれを食い止めてひっ捕らえねばならない。
幹部補佐として同行を考えたが、どう敵の動きを把握しても最短でも一週間はかかる。
私の暗殺任務は事件発生から三日後である今日。さっさと仕留めて救援に向かおう。
黒蜥蜴を配置して大勢の暗殺部隊で仕留めた方が損害も最小限に抑えられる。遥かに合理的だろう。
何故わざわざ中也さんを行かせたのか…人件費削減か。
…不明点はかなり多いが首領の云うことだろう、間違いはない。
"櫻田君。彼の異能力についての詳細が届いたよ"
首領と云えば、と私は赤字で情報漏洩厳禁、外部持込ヲ堅ク禁ズルと書かれた封筒の中身をもう一度読み直す。
"強力な異能だよ。彼が異能を仕掛けるその一瞬に仕留めなければいけない"
大丈夫。必要な事はもう頭に叩き込んだ。
何なら、中也さんの援護に向かう準備ももう出来ている。
勿論会場内には数人部下も客や従業員として紛れている。
花の刺繍がされたミモレ丈の紺色のドレスの内側に仕込んだホルスターには高性能爆弾やナイフ、馴染みの拳銃を入れる。
メイクも、ドレスも、話し方も仕草も完璧に仕上げてきた。絶対に殺れる。
ふと、数日前西野さんに貰った助言を思い出す。
「コツ?女はね、"隙"が大事なのよ」
『隙…ですか?』
「貴方は隙だらけですけどね。普段より気持ちガード固めでいったらどうかしら」
『うっ…』
確かに、性格上人を信じやすいところがある…けど。
見縊られちゃ困る。私だって色気に満ちた女性の役もできるはず。汚名返上だ。
銀色のヒールで、会場であり敵の持つ企業の一つの高級ホテルに足を踏み入れる。
大理石の床をカツカツと鳴らす。
パーティールームに入り招待状のチェックを潜り抜けて広い会場を歩く。花が咲いたような彩りで、鮮やかな美しいドレスに夢のような音楽。その空間に負けぬよう堂々と歩く。
その中に主催者であるターゲットを探すと資料の顔と一致した人間がいた。
『ポートマフィア準幹部、櫻田Aです。今回はお招き頂き有難う御座います』
「櫻田君、君に会えるのを楽しみにしていたよ」
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あい - ??? (1月29日 23時) (レス) id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新中でしょうか?ワクワクです (1月29日 20時) (レス) @page43 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - これ太宰さんどうなっちゃうんでしょうか……あと文才ご凄くありますね! (1月22日 11時) (レス) @page31 id: 68fda9e290 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - こういう系あまり読み続けられないんですがこれは一気に読めちゃいました…!文章能力すごい高いですね…尊敬…更新待ってます!頑張ってください! (8月26日 15時) (レス) id: efb8355445 (このIDを非表示/違反報告)
ライム - こういう物語って大体中也ポジの人は振られちゃうので、この展開メッチャ好きです!私が中也推しなのもあるかもですけど、wとにかく更新楽しみにしてます! (2023年3月25日 3時) (レス) @page42 id: e7904a37c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2020年1月25日 21時