愛吐 36 ページ45
矢張り予想通り、組合の異能力者はかなり強く建物から出ると中也さんが攻撃された。
私はQをおぶり、少し離れた所に避難させられた。
二人の会話は聞こえなかったが、太宰さんが異能力者に攻撃をされ吹っ飛ばされる。
今彼の異能は確実に太宰さんに触れたはずなのに無効化が効かない_____何故。
ならあれは…
(異能じゃない…?)
「ん…」
その時、膝枕していたQが眉を動かした。
薄く目を開いて瞬きした後一瞬驚いた顔をした。
「A姉さんだ…」
『よく、頑張ったね』
頭を撫でると疲れた様にへらりと笑った。
「僕、こんな異能いらない。だけどA姉さんが褒めてくれるなら、嬉しいよ…」
いつもの明るさはない。その言葉、その声色、その表情全てに胸が痛くなった。Qはそのまま再び眠りについてしまった。
(ごめんね。本当にごめん)
その瞬間ドォォォォ、と鈍い音に顔を上げると先ほどまでの組合の異能力者ではなく巨大な化け物へと変貌を遂げていた。
その時、何かがこちらに吹っ飛んできた。
私はQを抱えて咄嗟に避ける。彼を木の幹に寝かせて着ていた羽織をかける。
(危ない…死ぬところだった…)
ふと先ほどまで自分がいた場所を見ると、顔を苦痛に歪ませ右腕を抑えている太宰さんがいた。
彼が抑えていた腕の先は無かった。
先が…無い。
『嘘…!太宰さん!』
悲鳴にも近い声で彼のもとへ駆け寄る。
流石の中也さんも青ざめていた。
「A、中也。死ぬ前に…聞いて欲しいことが…」
『…ッ!』
「な…っ、何云ってやがる!手前がこんな処で…」
私は衝撃のあまり声を出せずにいた。すると太宰さんはばぁ、と右腕を出した。
「怪我の身で戦場に出るならこの程度の仕込みは当然だよ」
え、と私はその言葉に天を仰いだ。また彼の悪ふざけに騙された、と。
「手品してる暇があったらあの悪魔をどうにかする作戦を考えろ!」
中也さんはかなりご立腹の様子で胸ぐらを掴みあげ殴り掛かろうとしていた。
太宰さんはそんな事も意に介さず諦めて死のう!残った手は一つしかない!と笑った。
『"一つ"って…』
私も中也さんもその言葉に反応した。ここまでくるともう一択しかないだろう。
中也さんの異能の本来の姿の…
「"汚辱"をやる気か?」
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時