愛吐 30 ページ39
「莫迦な…簡単に潜入なんて!」
『異能力、姿ありけり____』
青い文字列が浮かび上がり、さっと周り後ろから針状の睡眠薬を差し込む。彼はどさりと床に倒れ込む。
作戦の邪魔はさせない。
操縦席に座り、自身の特殊ウイルスのデータを差し込む。生憎初見の機体を操縦する知識など持ち合わせていない私はハッキング完了まで待つ。
此の儘では墜落だ。
「___そうは行くか!」
『ぐっ…』
後ろから首を絞められる。…眠った"フリ"か。組合の構成員ともなると一筋縄ではいかない。
彼は読み込み中のSDカードを抜くとそれを空中に投げ捨てた。
「__これで君たちの作戦は粉々だ」
勝ち誇ったように笑った彼に対して私は同様にニヤリと口角をあげる。
『そんな事ありませんよ』
一瞬の隙を狙い彼から抜け出し、窓に脚をかける。
マーク・トウェインは驚きのあまり目を見開いた。
「この高さから!?死ぬぞ!」
『その位作戦の内だ!』
窓から飛び降り機体を蹴り上げて速度をつける。
太宰さんに送る際に風向き、風速は完璧に計算した。
『中島敦!』
気絶している人虎をこの上ない程の叫び声で彼の名を呼ぶ。それに人虎はハッ、と目を覚ます。
人虎は砲弾に打たれそうになるところを危機一髪避ける。
その姿を見かねて私はパラシュートを外す。重りを入れた身体は物凄い速度で落下していく。
「どうして君が」
『いいから私の手を取って!』
彼の決意したような目を見つめた。私も同様の力強い眼差しを向けちぎれんばかりに手を伸ばす。手が触れた瞬間、異能力を発動して彼らの死角を突く。
「虎化で地面に着地する。僕に捕まって!」
彼に捕まると虎の異能が落下から私を守る。
焼け焦げた街、荒れ狂う人々。
着地したと同時に達は走り出す。
『私が異能で彼奴を惹きつける。だから貴方は太宰さんの所まで走って』
「駄目だ!どこに爆弾があるかわからない!街の人だって」
その瞬間、地雷が爆発する。
私は建物の瓦礫に挟まれて、人虎は地面に吹き飛ぶ。私の方を見て駆け寄ろうとした彼に私は叫ぶ。
『走れ!』
「でもッ!」
私なら大丈夫、そう目で訴えると彼は背を向けて走り出した。それでいい。
街に砲弾が落ち、遠くの方で何かが爆発する音がした。先ほどまで自分が乗っていた機体を思い切り睨みつける。
『____貴方の相手は私だ!』
空中から砲弾が降り注いだ。真隣で弾丸が地面にめり込み、爆発に吹き飛ばされる中プツリと糸が切れたかのように意識を手放した。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時