愛吐 31 ページ40
血を流して路上で横たわっていたAを探偵社に運び、彼女は現在与謝野先生の異能力で治療されている。
即席の囮作戦が上手く行った事もあり、無事Qの暴走は一時的に止められた。
だが、
(私は此処までやれとは云っていない。)
パラシュートを使った脱出計画は良かった。
しかし幾ら軌道を読めるからと云って敦君のような着地の衝撃を抑え防御できる異能を持ち合わせていない彼女が生身で空中を飛び降りた、だと。
もし敦くんに手が届いていなかったら。
もし風がたまたま強くなっていたら。
更にそれだけでは終わらず、瓦礫に押しつぶされて半死状態になったのに更に異能で敵の目を惹かせて大量の銃弾を浴びた。
発見時には体や路上にはいくつも穴が開いていた。
あれはもう少し遅れていたら助からなかったかもしれない。それ程だった。
(自己犠牲だなんて泣かせる話だよ全く…)
でもそんな事は私が許さない。
________
目を覚ましていきなり視界に飛び込んできたのは白い蛍光灯だった。
半分投げやりだった。目を閉じた瞬間はBeoneの時とよく似ていた。
あの時も自分の死を覚悟した。
だが、今私は生きている。
痛みも何もない健康そのものの身体を起こすと探偵社の医務室だった。
どうして、私は此処に_______
思い出したのは焼けるヨコハマ。変わり果てた人々の姿。瓦礫に押しつぶされた自身の身体。
(Qが…!)
そうだ、彼はどうなったのだ。私は急いで扉を開けると丁度扉を開けようとした相手とぶつかりそうになる。
「おっと…」
『…太宰さん』
ぶつかりそうになった相手にすみません、と一言謝る。何日、寝ていたのだろう。あれからどうなったのだろう。ポートマフィアは。Qは。戦争は。
様々な思いが頭を巡る。
「無茶をしたようだね」
『私は平気です。それより、Qは…』
顔を上げる。
太宰さんのその時の表情は言葉に詰まるほどだった。
今にも爆発しそうなくらい怒っているように見えるし、泣きそうなくらい悲しそうに見えるし、辛そうなのだ。
『…あの、』
どうしたんですか、そう声をかけようとした。然し彼は私に背を向けた。
「Qはこれから連れ戻しに行くさ。でもまず先にポートマフィアの取引に向かう。君も来るんだ」
直感だが、そんなに日が経っていないことを感じて安堵すると共にまだあの事件については片付いていないのだと感じた。
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桜雪(プロフ) - りかまるさん» コメントありがとうございます。応援してくださる方がいて本当に感謝してもしきれません。拙い物語ですがこれからもよろしくお願いします、! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - のら猫さん» 10分、、それはすごい、、!コメントありがとうございます!自分のペースで頑張ります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - びあんさん» コメントありがとうございます。やっぱり小説を書くのってとても労力のいることだと思います。びあん様も同じ作者の身として無理のない程度に頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
桜雪(プロフ) - sonataさん» ありがとうございます。sonata様の作品とても素敵でした、、!大好きだなんて言葉を頂けてとても嬉しいです。お互い頑張りましょう! (2019年4月13日 11時) (レス) id: c10e018f98 (このIDを非表示/違反報告)
りかまる(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫です。無理なく、執筆して頂けたらと思います。応援しています! (2019年3月24日 22時) (レス) id: dbac4f4de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜雪 | 作成日時:2018年12月29日 21時