けじめ ２９ ページ30
ポルトガルの甘味果実酒として有名なポートワイン。
Aは"ワイン"と云う言葉にいち早く反応し、"彼女"と云う三人称が自分の事か確かめた後拒否した。
『わ、私は呑みませんよ！？』
「真面目だな」
「否、彼女の反応は至って普通ですよ織田作さん」
坂口と織田は顔を見合わせる。
非合法組織に属しているとは云えど必要最低限法は破らない様にしているA。
酒場に連れていかれる時点で覚悟はしていたが真逆本当に飲ませられる事になるとは思っていなかった。
太宰は彼女が真面目な事は知っていたが、此処で拒否されると思わず目を丸くして数回瞬きした。
Aはそれでも頑なに拒否し、結局は太宰が折れた。
『お酒はまた、"四年後"に飲みましょう』
その日はAはノンアルコールカクテルで4人で乾杯した。
太宰は仕事続きの日々で余程疲れていたのか眠ってしまった。
「珍しいな、太宰が酔うなんて」
「否、太宰君の場合きっと"あれ"でしょう」
「…"あれ"か。成る程な」
よくわからない未知の会話を繰り広げる坂口と織田を不審に思ったが、彼らにしかわからない話なのだろう、と決め込んだ。
3人で少々話すと、時間は深夜になっていた。
「勘定は僕がやっておきます」
「嗚呼、頼む」
『あ、私も少しなら持ってるので！』
「否、その必要はありません」
坂口は太宰の懐を弄ると幹部専用のブラックカードを取り出した。
各々自分たちの会計を済ませた後Aと太宰の分は全て其処から。
Aは置いていけ、と坂口と織田に云われたが置いて行くのは申し訳ない気がしたので太宰を家まで送る事にした。
「はぁ…僕は忠告したのに…」
安吾がこめかみを抑えてため息を吐いたことはAは知らなかった。
外へ出るとこの世界もろとも全て飲み込んでしまいそうな真っ黒な空が広がっていた。
(そう云えば、ポートワインって…)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1814人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nemucan427(プロフ) - 桜雪さんはじめまして！この作品面白くて大好きです お手数ですがパスワードを教えていただけないでしょうか？ (9月1日 21時) (
レス) id: 8afaa5b029 (このIDを非表示/違反報告)
なずな(プロフ) - 桜雪さんはじめまして！とても面白かったですよろしければパスワードを教えて頂きたいです (2023年3月28日 11時) (レス) id: 77590b4a4c (このIDを非表示/違反報告)
アルルの「 」 - 太宰さんの歪んだ愛し方が本当に大好きです・・・！！ (2023年3月13日 1時) (レス) @page41 id: a35ce8017e (このIDを非表示/違反報告)
嶺亜(プロフ) - 桜雪さんはじめまして!!作品とても面白かったです。よろしければパスワード教えていただきたいです。よろしくお願いします。 (2023年2月5日 18時) (レス) @page10 id: be050932d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞奈斗(プロフ) - この作品に出会ったばかりなのですが、とても面白く続きを読みたいです！パスワードを教えて頂くことは可能でしょうか...？( ˊᵕˋ ;) (2023年2月5日 8時) (レス) id: c32082b1c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜雪
| 作成日時：2018年3月29日 13時
