それぞれの思い ページ6
洞窟の、いくつもに分かれた道を、迷うことなく進んでゆく。
『ふふ…話しかけちゃった…なぁ』
道をどんどん歩いていくと、やがて地下街の通路へ出た。
『同い年くらいだったな…家に帰れたかな』
そこで女の子は、あの三人組の心配をしていることに気がついた。
(ハッ…なんで私が他人の心配を)
『友達なんて要らない。ひとりで、大丈夫。』
そう声に出して、自分に言い聞かせる。
あの三人を助けたのも、同い年くらいだったから、ちょっと可哀想に思えただけだ。
繰り返しそう呟き、歩いていると、小さな小屋に着いた。ここがAの家である。
『ただいまー…』
中から返事はない。それでも、Aは簡単な夕食を済ませると、早めに眠りについた。
その日は夢を見た。ちょっと前の記憶が、夢に出てきた。
5歳くらいの自分と、母と父と、三人で夕食を食べる夢。
『…ん…かぁ…さん…とぉさ…』
幸せな夢を見たはずなのに、起きたら頬が濡れていた。
『…だめ…頑張らなきゃ』
少女は無理やり笑みを作ると、朝食の支度をし始めた。
『今日も街に出ようかな…』
心の奥で、また、あの三人に会えたらいいな、なんて、思ってしまっていた。
「え、洞窟に⁈」
エレンの話を聞いたアルミンは、驚いて叫んだ。
「灯りを持っていけば、大丈夫さ。ほら、ランプもマッチも、持ってきたぞ。」
誇らしげにランプを掲げる友達の姿に、アルミンは少し考えて言った。
「方位磁針は？あと、食糧と。水も、いるんじゃないかな。時計も。行くんだったら、今からがいいよ。」
「よっしゃあ！そうこなくっちゃ！」
エレンはガッツポーズをする。
「エレンが無茶をしたら、私がとめる。」
ミカサが持ってきた鞄を抱えて言った。
「はは…じゃあ、早速行こうか。あの子に会えるとは限らないけれど。」
「そしたら、洞窟の中を探検しようぜ！」
エレンはもうはしゃいでいる。
(でも、やっぱり会えたらいいなぁ。お礼を言って、友達になりたい)
(なんで、洞窟にいたんだろう？僕はそれが知りたいな。)
(あの女の子、となら、友達になれる気がする。)
それぞれそんなことを考えながら、洞窟の入り口まで歩いた。
終わり←蒼眼の女の子
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サクヤ - 続きみたいです！ ぜひ書いてみてください！(´∀`)♪ (2016年12月29日 20時) (
レス) id: 18ba645ccb (このIDを非表示/違反報告)
ダークプリンセス - 凄く面白かったです！続き読みたいです(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ更新頑張って下さい！ (2016年10月4日 21時) (レス) id: 28731f575f (このIDを非表示/違反報告)
聖愛(プロフ) - 更新頑張って下さい！！応援してます！ (2016年6月8日 18時) (レス) id: 774a93f2e5 (このIDを非表示/違反報告)
れんれん - つづきが読みたいです。こういうタイプの話は好きです。 (2016年6月6日 17時) (レス) id: a5519b4c03 (このIDを非表示/違反報告)
サムリリ(プロフ) - 読ませていただきました！とても面白いです(*´ω`*)これからも更新まってます！ (2016年5月24日 18時) (レス) id: f2c373497b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はるかぜ | 作成日時：2016年5月18日 21時
