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男として ページ2

「男性相手に言うものではないな」と心のどこかで思いながら、輝く満月を背景に私を見つめ返す総司は土方さんにも引けを取らないほどに綺麗だと感じていた。


気持ちを聞きたいと言いながらも私が口を開けば口付けてくる彼の真意を探ろうと、見つめ始めて結構立つが総司は何も言わずにただただ私を見つめて抱きしめる腕の力だって緩めてくれない。

私は一種の抗議のつもりで名を呼んだ。


「はい。何ですか?」

「いや何ですかって・・。――あなたはいったい何をしたいの?」

「さっきのですか。――聞きたいけど、すこし怖くて聞きたくないんです」

「・・・べつにいまさら拒絶なんてしないし、私は剣として生きると決めてるんだから離れる心配も、巻き込む心配だって要らない。全部、今更過ぎるよ」

「僕は―――身勝手な考えだけど、Aさんに危険なところにいてほしくなんかないんだ!」


総司がこんなに声を荒げるのを見るのはいつぶりだろうか。
―――ああ、一を殴ってた時だったっけ?

抱きしめる力をさらに強められて、若干の息苦しさを感じる。
・・・これじゃ、"締め付けられてる"の方が正しいかもしれない。


「僕は、きっと最期まで近藤さんのそばにいようとするから、あの人のために剣を振るうことになるから―――Aさんのそばにいることもできない。
・・・なのに、あなたと一緒にいたいなんて、守るから着いて来てくれなんて言えないんです」

「私は、守ってくれなんて言った覚えはないよ」

「・・【好きな人を守りたい】って思うのは、変ですか―――?」


総司の考えは男として至極普通のものだ。

彼がそう思うのは当然であり、女である私はそれを嬉しく受け取り、彼のなしたい事のために日々支え続ける。・・・それが当たり前のこと。

―――でも、ただの女として生きるには私は武道を極め、たくさんの人の死に関わり過ぎたのだ。
そして、誰かに頼るということも知らなさ過ぎた。

総司の気持ちを、そのまま受け取ることなんてできなかった。

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まんさ(プロフ) - Mさん» お久しぶりです!続編書いてきました!・・・そんな、上手だなんて――ありがとうございます!(´∇`)続編でもまたよろしくお願いしますね! (2015年8月4日 22時) (レス) id: 647a4018e9 (このIDを非表示/違反報告)
M - まんささん» 本当ですか!?+。:.゚ヽ(*´ω`)ノ゚.:。+゚。え、まんささん上手に書けているじゃないですか?そんなに気にしなくても大丈夫ですよ!!それにしても、沖田さんが風邪…ねぇ?笑笑(*^^*)看病したい← (2015年7月28日 0時) (レス) id: 7f80429ab2 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - Mさん» 伊東さん斬るまで後数日・・ハアハア((( そろそろこの小説も次の章へと行きます!なんかグダグダしてきてますし、次の章からはシャキッとしたのが書けたらいいな・・・ (2015年7月27日 8時) (レス) id: 647a4018e9 (このIDを非表示/違反報告)
M - まんささん» 今すぐにでも!!笑笑(*^^*) (2015年7月24日 14時) (レス) id: 7f80429ab2 (このIDを非表示/違反報告)
まんさ(プロフ) - Mさん» ここからはわりと飛ばし飛ばしにやっていくつもりですが、何はともあれ熱いシーンが無い…(´・ω・`)伊東さん早く斬りましょう! (2015年7月24日 0時) (レス) id: 647a4018e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まんさ | 作成日時:2015年4月27日 19時

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