あのね、代わりになるよ

34話 ページ36

オープンカーに初めて乗ったが案外心地よい
晴れた空に優しく吹く風は疲れた体を癒してくれる

しばらく車に揺られていると隣から規則正しい音が聞こえてきた
目だけ動かすと鈴芽ちゃんの頭が下がっている
寝たんだ…それもそうか、彼女が１番疲れているはずなんだ。うっすらとできている隈を見つけて心が痛む

すると急に音楽が流れてきた
芹澤さんは指でリズムを取り、リリズムにのって歌い出す

決して上手いとは言えないが何処か親しみやすさを覚えた


環「せからしかね」


ｼﾞﾛﾘと芹澤さんを睨み付ける環さん
まだ不機嫌そうだ


芹「いやぁ、旅立ちにはこの曲でしょ？猫もいるし」


環「はあ？」


僕は後ろでﾊﾗﾊﾗとしながら事の行方を見守る


芹「その猫って、鈴芽ちゃんのすか？」


環「うちは猫なんて飼っちょらん」


芹澤さんは片手でダッシュボードを探り何かを取り出し環さんに見せる


環「……教育学部？」


訝しげに芹澤さんを見つめた
芹澤さんは簡単に答える


芹「まぁ、教師になりたいんで」


しばらくの沈黙があったあと環さんが短く名乗った


芹「袖振り合うもっめやつですね。長い道中、仲良くしましょ」


なにかが面白いのか笑いながら言う芹澤さんの言葉を最後に僕も瞼を閉じる

まだなにか芹澤さんと環さんな話しているが、どうしても聞く気になれなかった

風を感じながら意識が遠のく
……おやすみ自分

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