蒼空への願い

episode20 ページ21

藍「いや…。…仕事に戻る、何かあったらナースコール押してくれ」



そう言うと藍沢先生は背を向けて病室から出ていこうとする。


『…藍沢先生！』


声をかけると彼は立ち止まった。



藍「なんだ」


『あの……その……』



言いたいこと、聞きたいことはたくさんあるのに上手く言葉にならなかった。



『……お仕事頑張ってください』


藍「…あぁ」



だから藍沢先生が病室を出るまで、精一杯を笑顔を作った。




病室を出た藍沢先生が悔しそうに手を握りしめていたなんて気がつかなかった。







【翌日】


この日は朝から1日かけて色んな検査をすると藍沢先生から説明があった。



移動が多いから車椅子を使うか？と聞かれたが、少し抵抗のつもりで提案を断り歩いて病院内を移動する。





最初はいつも通り移動することが出来ていたが、検査の1番最後採血をし血をいつもより多めに抜かれた後から貧血なのか歩くと目が回るような感覚に襲われた。



『…っ……』


立ち止まり目をギュッと瞑り耐えようとするがなかなか治まらない。



あぁ…やばいなぁ……




立つことすらキツくなり、壁に手をつき廊下にあるソファに座り込む。



検査全部終わったし、良くなるまでここで休憩しよう…。





こめかみの辺りを擦りながら目を閉じていると、声をかけられた。



新「…Aちゃん？」



ゆっくり顔を上げると心配そうな顔をした新海先生が立っていた。

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