第50話 胸板 ページ9
「はぁ…はぁ…」
俺がゴミ捨て場を散歩していると、コリコが汗だくになりながら腕立て伏せをしていた。
「お前どうした?最近よく筋トレしてるな。」
「いや、もっと鍛えようって思って。」
「どうして急に?」
「だ、誰にも言うなよ…///
俺、実は好きな子がいるんだ。その子の好みが優しくて、困った時は助けてくれる、胸板の厚い男なんだ。」
コリコが好きな子とは、Aのことだ。
「だから鍛えてるのか。」
「うん。マンカスやタガーはAの好みそのままの体型だから俺もあんな風になりたい。」
「お前はきっとなれるよ。」
「ありがとうギル!俺、頑張る!」
そう言うとコリコは再び腕立てを初めた。
胸板が厚い、即ち筋肉がしっかりついていることだ。
マンカスやタガーは見ただけでもがっしりした体型だとよく分かる。
マンカスが人間になった時、一度だけ見せたたくましい上半身を俺は忘れられない。
腹筋は割れ、しなやかな筋肉がつき、胸には厚みがあった。
夜眠る前、ふと自分の体に触れてみる。
子供とも言えず、だからといって大人とも言えない俺にはこれでも筋肉がついている。
何故Aがそんな体型の男が良いのかというと、父親がそんな体型で抱きしめられた時に安心感があったからだという。
俺は正直、マンカスやタガーが羨ましいと思っていた。身長も高いし、たくましい体つきをしている。
それに比べて俺はそこまで長身じゃないし、たくましくもない。
俺もあんな風になりたい…とはコリコと同じくらい思っている。
ある日、俺が広場に向かっていると、Aがいた。
「おい何してんだ?」
「あっ、ここ登ろうとしたら足がゴミにはまって…」
「まったく、ドジだな。」
「そんな!助けて!」
俺が恐る恐る手を伸ばすとAは掴んできた。
俺よりも小さくて少しふっくらした手だった。
俺が勢い良く引っ張ると足は抜けたものの、Aはバランスを崩した。
「ひゃっ!」
「うわっ!」
…そのまま俺の胸の中におさまった。
Aの顔が目の前にあって少しずつ鼓動が速まる。
「わわ、えと、あの、ごめんなさいいい!」
Aは顔を真っ青にして俺から離れた。
「すみません私のような人間が貴方のたくましい胸板に…えと、あと、本当にすみませ…」
え?
たくましい…?
身体中が熱くなり、鼓動が速まって、Aの前に立っていられなくなった。
俺はそのまま逃げるようにして走った。
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なおぴょん(プロフ) - **ぐるぷん**さん» 私も毎日聴いてますよ~♪ 札幌公演見に行きますか? (2014年10月10日 22時) (レス) id: 4de1711d69 (このIDを非表示/違反報告)
**ぐるぷん**(プロフ) - なおぴょんさん» 私も毎日聴いてます!私は福島です!( ̄^ ̄)ゞ (2014年10月10日 22時) (レス) id: d02575319c (このIDを非表示/違反報告)
ねねこ(プロフ) - **ぐるぷん**さん» 四季のアラジンオーディション、団員以外にもキャスト募集するので一和さんが出る可能性なある気がします。退団後も四季作品に契約で出ている方いますし…札幌開幕は来年の1月なので最低でも一年はやると思いますよ! (2014年10月6日 23時) (レス) id: 14bda2dd5b (このIDを非表示/違反報告)
なおぴょん(プロフ) - **ぐるぷん**さん» 私もCATSのCD持ってます!いいですよね〜(*^^*)ぐるぷんさんは、札幌に住んでいるんですか? (2014年10月6日 22時) (レス) id: 4de1711d69 (このIDを非表示/違反報告)
**ぐるぷん**(プロフ) - なおぴょんさん» キャッツ千秋楽迎えましたね!キャッツのCD聴くたびにキャッツ観たいな〜ってなります(T ^ T)受験終わるまで札幌でやってるかが不安で不安で(°_°) (2014年10月6日 22時) (レス) id: d02575319c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねねこ | 作成日時:2014年7月8日 20時