九話 在り方 ページ9
「見付からない・・・」
フィンの呟きと共に、飛び出したクロエが、現れた魔物の足を崩し、頭を強打させて無力化する。
「動き出す前に逃げるぞ!」
リョウスケの指示で、四人はすぐにその場から離脱した。
「ふー、たしかにね」
クロエの知っている限りの近道をこれでもかというほどに使い、彼等は三層まで降りていった。しかし、危険そうな魔物はいないので、クロエが一瞬で意識を飛ばし、その後みんなでそこから逃げるというのを繰り返している。
「うーん・・・あのおっちゃんが基本的に徘徊してるのが三層から四層なんだよね。だから、たぶんこの辺だと思うんだけど・・・」
その時、フィンがリョウスケの服の裾を引っ張る。
「どうした?フィン」
「・・・ん」
彼女は手に握りしめていたものをリョウスケに渡す。握りしめていた、というよりは、抱えていた、という方が正しいかもしれない。
「なんだ?これは・・・」
リョウスケがそれを見ていると、Aとクロエが興味をもったのか、近づいてくる。
「なにかの骨とかですか?いや、でも、それにしては・・・」
それは、確かに骨と形容するしかないものだった。色や形から考えると骨なのだが。Aが言いかけた言葉をリョウスケが引き継ぐ。
「ああ、大きすぎるな・・・」
その骨が異常だったのは大きさだ。しかし、クロエとフィンには見覚えがあるようで、少し深刻そうな顔をしている。
「リョウちゃん・・・これ、爪だよ。この層で結構強い魔物の・・・」
「多分・・・コイツより強いのが近くにいる」
Aは息を飲んだ。魔物には、こんなに近くに死があるのだ。自分より強い者がいれば、その者に食われる。そして、ここに入れば、それは自分達も例外ではない。
Aの緊張を察してか、リョウスケは、休憩をしようと提案する。そして、Aに焚き火を作るので、火をつけて欲しいと頼んだ。
「じゃ、この辺に木を集めてっと・・・」
クロエもその空気を察してか、焚き火の用意をはじめる。Aは、少し緊張が緩んだのか、軽く微笑むと、焚き火のもとに近寄り、指に小さな火をつける。
と、その時。
ガサガサッという音に気が付いたのは、Aだけだったのか。とっさに振り向くと、見えたのは巨大な影。
「A!?」
リョウスケの悲鳴が遠くに聞こえた。目の前に迫ってきたなにかをかわすこともできず、Aは目を瞑る。
「危ないッ!!」
誰かの声が聞こえ、Aは大きく突き飛ばされた。
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作者名:無敵のまつぼっくりEX | 作成日時:2017年6月29日 18時