２４２話 ページ26
どこか埃っぽく、暗い雰囲気の漂うスラム街。
路地裏には、沢山の人が痩せ細った身体を丸めながら座っている。
そんな街の中を、ボスはゆっくりと歩んでいた。
『ここが、ボスの生まれた故郷なんですね』
自分の故郷とは、雰囲気が全く違っている。
重苦しい空気の漂うこの街に、何故ボスは私を連れてきたのだろう。
そんなことを考えていると、急にボスが立ち止まった。
『ボス？』
ザ「……」
ボスは何も言わずに私をそっと地面に下ろし、路地裏を見つめていた。
クモの巣が沢山あり、空気がより一層薄汚れている。
寂しい雰囲気で包まれた街を前にして、ボスがようやく口を開いた。
ザ「……無償の愛なんざ、必要ねぇ。
そう思って今まで生きてきた」
ボスは私の斜め前にいるから、ここからではボスの顔はよく見えない。
それでも、どこか真剣な顔をしているのだろう。
いつも態度で何かを伝えるボスが、言葉で何かを、私に伝えようとしている。
私は黙ったまま、ボスの声に耳を傾けた。
ザ「……だが、どうやら俺は知らぬ間にその無償の愛とやらを与えられていたみてぇだな」
カス共に、という言葉を聞いてボスらしいなと私は苦笑した。
確かにボスは実の母親に捨てられたり9代目に裏切られたりと、壮絶な道を歩んできた。
裏切られたという事実を突きつけられ、悲しみが怒りに変わり、ボスを憤怒の道へと誘った。
でも、ボスには大切なファミリーがいた。
スクアーロ隊長が、ルッス姐が、ベルが、レヴィさんが、マーモンさんが側にいた。
どれだけボスが怒りに飲み込まれても、彼らはボスについてきた。
何の見返りも期待せずに、ただ側にいた。
それが、ボスにとって喜ばしいことだったに違いない。
最近のボスを見ていれば、特にそう思う。
ボスは変わった。勿論良い意味で。
相変わらずな所もあるけど、それはボスがボスである証拠だ。
『ボスは幸せ者だね。
最初はここから始まったけど、今では多くの隊員に慕われてる立派なボスだよ』
ザ「フン……、どうだろうな」
『もぅ、素直じゃないんだから』
そこは、凄いだろ俺ってぐらい自信満々に返事を返してほしかった。
ボスを慕っていないヴァリアー隊員なんて、いるはずがないのに。
というか、いたら私が締め上げてくる。
『皆、ボスがヴァリアーにいるからついてきてるんだよ。
ボスのために、毎日命をかけて戦ってる。
それを忘れないであげてね』
皆のためにも。
勿論、ボス自身のためにも。
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 323人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜(プロフ) - 2人の想いが通じ合って良かったですねぇ！ これからが一層楽しみです！ 更新はご自身のペースでいいと私は思います。いつでも待ってますから！ これからも一層、楽しみにしてます！ (2019年2月15日 18時) (
レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 更新待ってました！ ボスへの想いに気が付いて、これからどうなるのか楽しみです！ これからも応援しています！ (2019年1月10日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めちゃくちゃ面白かったです!更新楽しみにしてます (2018年8月2日 17時) (レス) id: 742e9e233f (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 良かったです！ これからも応援してますので、自分ペースで更新してください！ 楽しみに待ってます！ (2018年4月1日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
咲月(プロフ) - こちらで活動してもらいたいですが、他サイトに行くとしても応援してます！それと他サイトに移るなら、pixivオススメですよー (2018年3月11日 20時) (レス) id: 6dc0dcced2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雫 | 作成日時：2017年12月31日 22時
