終_『 本当 』は 、 ページ50
貴方side
いつの間にか私の目の前には包帯くんのループタイがあって。
私は静かに声を出した。
『 …何時かの夜、君は僕に云ったよね
" 本当の僕はどっちなんだろう " って 』
「 ああ、云ったね…… 」
『 君の云う通りだ
君ももう分かっているだろうけど僕は女性だよ、歴としたね
これが大怪盗の仮面を外した本当の " 僕 " だ 』
真実を明かした大怪盗の目には絶え間なく涙が溢れ、其の涙に似つかない笑みを添えていた。
強くなりたくて、平気な仮面を付け始めた。
理解の及ばない程に " 普通 " が欠如した人間に成りたくて。
弱いところは見せたくなくて。
僕は常に強い " 男 " を演じ続けた。
まるで四歳児のように泣き乍ら彼の腕に顔を埋める私に包帯くんは何と云っただろう
「 ………A、
私は別に君がどんな仮面を被ろうと関係ない
何にせよ、君への想いは変わらないからね 」
『 包帯くん…… 』
そう顔を上げれば彼は笑って、包帯くんは私の名じゃあないよ、と私の頭を撫でた。
「 それに君がどんな変装をしても私は見抜ける自信しかないからね!
と云うより私にとってはご褒美 」
『 ああー!!
もう!何で感動
それと何時までも僕の頭を撫でないでくれ給え!!
……………太宰、 』
名前を云ってやれば彼は一瞬だけ顔を赤く染め、そして何時もの調子に戻ってしまった。
へ、ヘェ……包帯くんもそんな顔を……
「 拙い、唐突にAを連れて家に帰りたくなってきた 」
『 だから感動場面に巫山戯ないで?! 』
こんな時にまで茶々を入れる太宰に呆れていると 其れで、と声色がまた真剣に成る。
揶揄うような表情は何時にも増して優しい笑みに切り替わり。
…思わず見蕩れてしまったなんて云わない
「 返事、何時まで待たせるんだい? 」
……
優しい顔で何を云い出すかと思えば態々本人の口から返事を聞こうとするなんて
律儀な人め…否、イジワルな人だね
太宰side
最初に好きと伝えてから何日もの日が過ぎたであろうか。
何時も何時も、君は私を待たせてばかりだ
こうして返事を催促するような言葉を掛けなかったら彼女は一生私に返事をしない心算でいたんだろうね。
腕の中に居る彼女はクスリと笑って小悪魔のような笑みをそこに湛え、私を見た。
『 好きだよ、太宰 』
終わり←盗み_48
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オズ - dGAzIwL2bmd18Yxさん» うあ…嬉しすぎるお言葉……ありがとうございます!!!頑張りますね!!! (2022年7月13日 20時) (レス) id: 1d6204a61d (このIDを非表示/違反報告)
dGAzIwL2bmd18Yx(プロフ) - もう、やべぇ、、(文才が天才過ぎて語彙力が4にました)面白過ぎます‼︎続編の更新も楽しみに待ってます (2022年7月11日 1時) (レス) @page50 id: d1624c287f (このIDを非表示/違反報告)
オズ - *深音*(みおと)さん» ああああありがとうございます!!最終回まで頑張って書きますね!! (2021年8月18日 12時) (レス) id: bf4e4a8e9b (このIDを非表示/違反報告)
*深音*(みおと)(プロフ) - すっっごい好きです…(語彙力皆無)更新頑張ってください! (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2e41216803 (このIDを非表示/違反報告)
オズ - テレタビーズ教さん» ありがとうございます!!これからも良いものが書けるように頑張ります!! (2021年8月4日 17時) (レス) id: 886aed0c44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オズ | 作成日時:2021年7月25日 18時