盗み_39 ページ40
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『 うわッ?! 』
立ち眩みかと思えば倒れた割に背中や腰に痛みがなかった
包帯くんが私を引っ張っていたから。
「 随分と帰りが遅いじゃあないか、大怪盗さん 」
もう日が昇ってしまうよ、と包帯くんの腕が私を優しく、けれどもしがみつくように包み込む。
『 起きていたのだね…包帯くん 』
今すぐ離して欲しい、切実に
……恥ずかしいし
若干赤面に成る私なんて露知らず、彼は腕の力を強めた。
「 傷だらけのようだけれど 」
『 分かっているなら今すぐ離し給えよ…ッ
ボクは洗面所へ行きたいのっ…! 』
力強いな、とこう云う時に改めて思う。
諦めて抗う力を零にすると私の下で包帯くんが うふふ、と笑んだ。
『 何だい?気持ち悪いよ? 』
「 Aの赤面が可愛くて 」
『 何処から見てるのさ?!
気持ち悪いよ?!! 』
云っておくが私は仰向けに倒れたから包帯くんが私の顔を見ることは不可能なのだ。
気持ち悪いな?!
当たっているのだけど!!
誤魔化そうと必死に顔に集まった熱を追い出すが染まる赤は一向に出て行ってくれず。
図星だねェ、とくつくつ笑う包帯くんに追い出した熱が再び顔に集合する。
「 こうしていると
何時かの
『 思い出さないでくれ給え!頼むから!! 』
「 確かあの時も私と密着してAが照れていたのだよねぇ? 」
『 なッ……!! 』
近くで感じる体温
彼の、息遣い………。
『 あ、あの時はそう云うんじゃ…ッ 』
「 うふふ、恥ずかしかったんだァ? 」
『 だから違うと云っているだろう!? 』
収まるどころかどんどん顔に集まる熱
まさに吸熱反応のよう。
「 でも、
偶には大怪盗の仮面を外して
私に甘えても善いのだよ? 」
先刻とは違う声色の言葉にはっと息を呑み、目を見開く。
善いのだろうか、
この笑顔の演技と云う苦痛から解き放たれ
本心を叫んでも。
………否、駄目だろう
昨日帽子くんに目のことで当たったばかりではないか
どうにもならないことを他人にぶつけたところで色が見える世界なんて待っちゃいない
其れは何人も人を殺した私が一番分かっていることだ
甘えるんじゃあないよ、莫迦
『 僕は……駄目だよ 』
…………未だ、大丈夫だろう?
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オズ - dGAzIwL2bmd18Yxさん» うあ…嬉しすぎるお言葉……ありがとうございます!!!頑張りますね!!! (2022年7月13日 20時) (レス) id: 1d6204a61d (このIDを非表示/違反報告)
dGAzIwL2bmd18Yx(プロフ) - もう、やべぇ、、(文才が天才過ぎて語彙力が4にました)面白過ぎます‼︎続編の更新も楽しみに待ってます (2022年7月11日 1時) (レス) @page50 id: d1624c287f (このIDを非表示/違反報告)
オズ - *深音*(みおと)さん» ああああありがとうございます!!最終回まで頑張って書きますね!! (2021年8月18日 12時) (レス) id: bf4e4a8e9b (このIDを非表示/違反報告)
*深音*(みおと)(プロフ) - すっっごい好きです…(語彙力皆無)更新頑張ってください! (2021年8月18日 0時) (レス) id: 2e41216803 (このIDを非表示/違反報告)
オズ - テレタビーズ教さん» ありがとうございます!!これからも良いものが書けるように頑張ります!! (2021年8月4日 17時) (レス) id: 886aed0c44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:オズ | 作成日時:2021年7月25日 18時