How are you?Professor？｛wr.wr.d}{em}{短編集｝ (ページ6)

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魔主役　友達、ですので。ページ6

誰も居ない部屋、夜になりそうな外の景色、身を隠すためにつけた香水の匂いが室内を包む。
窓からバトラに励む悪魔達の姿を一瞥し、振り返ると呆然とした表情を浮かべる同級生のエーミールがいた。

時は遡って、私はずっと疲れていた。悪魔達の世界で悪魔として振舞って生きることに。
本当は人間で、色々と運が良くて正体を知られることなく今日まで生きてこれた。でも明日は？明後日は？２年後は？運がいつ尽きるのか分からない中、生きるのは怖い。
私はそのような臆病な人間なのだ。
ならば今のうちに諦めてしまおうと思ったけど、身投げなんてしたくなくて、帰る場所もなくて、思考の末思いついたのは一番仲のいい悪魔らしからぬ悪魔に食べてもらおうというという案が出た。

私がおかしいのは分かっているが、どうせなら死ぬ前に友人の記憶に刻まれてやろうと、数日前に聞いた言葉を思い出す。

放課後、彼に分からない場所を教えて貰うためバトラ後に図書室で落ち合おうと約束しており、私のやる事は予定よりも早く終えてしまったた目的の場所に少し早く着いたそして、同じようにやる事を終えていたのか一番仲のいい悪魔のエーミールの背が本棚の隙間から見え、話しかけようと彼に近づいた時すでに先客がいて後で驚かせようと本棚の裏に隠れて待つつもりだった。距離はさほど遠くなかった為彼らの会話が耳に入ってくる。

「なぁなぁ、エミさん」
「なんですか、ゾムさん……一応敵同士なんですけど」
「細かい事はええやん！今日な！魔歴の空想生物学で人間の事やったんやけど」

人間の事をやったんやけど、と輪唱のように言葉が聞こえてくる。

「分からない所でもあったん？」
「んーん。エミさん人間って信じとるかなぁって思ってな」
「……そうですね…」

そこで一度彼の言葉は途切れる。
ここからじゃ本が邪魔で彼と一緒にいる悪魔の表情はおろか、エーミールの表情も分からなかった。

「一応信じてますよ。過去の書類にもあったとされていますし、捏造が魔歴に書かれているなんてあまり信じれないですしね」
「ほーーん。じゃあさ」

エミさんは人間って食べてみたいと思う？

ドクンと心臓が鳴ったあと、全ての音が遠くへ行ってしまい視界の隅から暗黒が侵食し始めた。
怖い、それ以外の感情が見つからず、どうしようもできない。

食べてみたくはない、と言えば嘘になりますね。

あ、駄目だ。と眠りかけていた生存本能がガクブルと震えだす、彼も悪魔だったことを知らされた。