How are you?Professor？｛wr.wr.d}{em}{短編集｝ (ページ5)

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『あまりにも書類が多すぎて怒ってる？』
「まっさかそんな」
『いつもならもっと会話してた気がして』
「………」

また返答は返ってこない。むしろ何か気になる事がある様に彼は自身の手を顎に当てた。
考えていることは書類の事だろうかとも思ったが彼の白い眼はこちらをじっと見つめている。

『何か気になる事があるなら言ってくれメンス……』
「……んー……言っても良いんですか？」
『え、なに。ほんとにあるの』
「あるにはありますよ」

温厚な彼の口からどんな言葉が出てくるのか不安に感じつつ書類を机の上に置きどうぞと促すと彼は同じように書類を机の上に置き少し咳払いをして目を逸らした。

「Aさん、今週は皆さんと一緒に色んな所に行って色んな事をしておられたようですが……、俺とはなんもなかったなって」

言葉の終わりに近づくに比例して声が小さくなっていき頬も心なしか赤くなっている彼を驚きの籠った目で見た。
思っていた言葉と違ったというのもあるし、そんなこと考えてたんだというのにも驚きが隠せない。

『……今一緒に書類確認している作業は？』
「んまぁ……それは……」

と彼は言葉を濁す。多分仕事という面を除いてという意味だったのだろう。
無意識にふへ、と良く分からない笑みが出てくるがその感情の正体を私は知らない、知らないが悪い気はしなかった。

『それじゃ……これが終わったらお礼に私のおごりでご飯食べに行こ』
「え！ほんま？行きます」

先ほどまでのむくれた空気や、照れた表情が嘘のように彼の表情は明るくなり、再び書類を手に持った。
そんなにご飯に行きたかったのかと思いつつ私も書類の続きをする。

時計の針が12時を示すまで私たちはいつもの通り談笑をしつつ溜まった私の仕事を一緒に片づけたのだった。
後で書記長にまたエミさんに手伝ってもらって、と怒られたのは言うまでもない。