素敵帽子様の彼女様

変だよ ページ33

｢なにが？｣

こてんと首を傾げるAちゃん。

｢だって……だって、可笑しいと思わないの！？彼女に盗聴器やらGPSやらをつけるなんて！

普通、そんな事しないよ！｣

嗚呼、何云ってるんだよ。止まってくれよ。
中原さんを怒らせたら探偵社の事務所がどうなってしまうかわからないだろ？
如何して、如何して止まってくれないんだよ！！

｢中原さんも！Aちゃんに悪いとか思わないんですか！？彼女の行動を監視して……こんなの、こんなの可笑しいですよ！｣

内容だけで云えばそこまで長くない。だけど、叫んだせいだろうか、酷く息が切れる

｢……別に？｣

｢……へ？｣

｢だって……｣

中也からの愛なら私はどんな形でも受け入れられるから。

そう言って、花が咲くように笑うAちゃん

こんなの……変なんてもんじゃない

異常だ

そう思って歯を食いしばり、手を強く、ギリッと握ると中原さんが口を開いた

｢あのなァ……いいか？ガキ、よく聞けよ？
手前は探偵社所属だが、此奴はポートマフィア所属だ。意味わかるか？手前よりも死ぬ確率が高いんだよ。
それだけじゃねェ。攫われる確率も高い。なんせ、此奴はポートマフィア幹部だからなァ。
もし、攫われでもしたら如何すんだ？
云っとくが監視カメラなんざ役に立たねェからな。んなもんとっくに壊されてるかそれ以前に、攫う奴らが位置を把握して死角から動いてる。そんな時、役に立つのが此奴だ｣

そう云ってAちゃんの首にあるチョーカーを触り、｢わかったか？｣と云いたげに僕の目を見る中原さん。

でも、それでも

Aちゃんの命を守る為だとしても

｢……中原さんの云っていること全てを否定することは出来ません……ですが、矢っ張りこんなの可笑しいですよ……それに、Aちゃんの異能力があれば｣

｢Aの異能力は確かに強い……が、不意打ちにはめっぽう弱いんだよ。その例えが先刻の狙撃手だ。あとは……部下の裏切りとかか？｣

｢うーん、正確に云えばもっとあるよ？私の異能力って殺戮くらいにしか使えないから……でも、これ以上云うと弱点になるから云わない｣

ベーッと僕に向かって舌を出して、悪戯をしたあとの子供のように意地悪く笑う

そしてそのまま……こう言った




｢さて、そろそろかな？｣

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