私であり、僕でもある大冒険 その2♪ 【ぼくらシリーズ】

-朝から校長室- ページ21

教室に入ると、早速ひとみがやってきた。


ひとみ)安永君いた？


菊地)いなかった。


英治は木下の方を見たが、木下は聞こえていないみたいに、じっと前を見ている。


ひとみ)木下君、どうしてくれるの？


ひとみは、木下に詰め寄った。


木下)そう言われても、僕は困るよ。


木下は弱々しい声で答えたが、目は、ぞっとするほど冷たい光を帯びていた。


ひとみ)3人も居なくなっちゃったのよ。
知らないじゃ済まないでしょう。


木下は口をつぐんだまま何も言わない。


菊地)もう止せよ。
木下に言っても仕方ないだろう。


英治はひとみを引き離した。


ひとみ)じゃあ、3人の事は忘れちゃえって言うの？
あのA君の事も、宇野君の事も、安永君の事も！


菊地)そうは言って無いさ。
俺達で探すのさ。


ひとみ)何処を……？


そう言われると、返事のしようがない。


担任の森島が入ってくると、英治に校長室へ行くよう言った。


―――いよいよきたな。


英治は、覚悟を決めて廊下に出た。


相原)菊地。


後ろから相原の声がした。


相原)校長室へ行くのか？


菊地)お前もか？


相原)うん。


相原は、いつもと変わらない顔をしている。


校長室へは2人一緒に入った。


中には校長と教頭と想像もつかない人がいた。


歌那谷)…。


相原)弟！


菊地)歌那谷？！


歌那谷)どうも…。


歌那谷の目は虚ろで、何を見ているか分からない。


三宅)そこに座りたまえ。


校長が厳しい顔で言った。


2人は並んでソファに腰を下ろした。


樺島)宇野は、昨日もとうとう帰って来なかったそうだな。
こちらにいらっしゃる三条のお兄さんも帰って来なかったそうだ。


教頭は2人の前で仁王立ちになった。


歌那谷は慌てた様に手を振った。


歌那谷)あ、その事で話があった訳では…。
別に文句を言いに来た訳では無くて…。


ワタワタとする様子はAとそっくりだ。


歌那谷)あ、後、それを詳しく調べる為にはちょっと本家の方に戻らなくてはいけないので、神尾に伝言を伝えて欲しいだけなんです。
あ、あと、木下に口を割らせる方法何かを考えて下さい。
それが一番有力な情報になるんで…。
それじゃ…、失礼します。


言いたい事だけ言って、歌那谷は去って行った。


樺島)私は、昨日君に言った筈だ。


相原)はい。


樺島)はいじゃ分からん、どうするつもりだ？


教頭は、手にしていた雑誌でテーブルを叩いた。


手をぶつけている。


痛そう…。


＊

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