16話 ページ17
強く、ただ強く抱き締めてくれた彼は、私の震えが止まると頭を優しく撫でる。
そして頬を覆うように手を添え、やんわりと上を向かせた。
涙の滲んだ情けない私の目尻を優しく親指で拭い、ふ、と安心したように笑みをこぼす。
耳を撫でられ、いつかのように目を閉じた彼の額と鼻先が私のものと重なり合う。
「っ、無事で、良かった。」
至近距離でゆっくりと瞼を開けた彼を、瞬きすらできず、食い入るように見ていた。
ゆらゆらと彼の瞳に心配の色が揺れ動く。
名前を呼んだら、本当に助けに来てくれた、なんて。
それ以上に本気で心配して、体を張って助けてくれて。
こんなに素敵なあなたに惚れない人なんて、いるわけがない。
好きだよ。景光くん。
ずっと、貴方と連絡が取れなくなってからもずっと、色褪せることも枯れることもなく。
貴方が好き。大好きなの。
「景光くん、ありがとう。」
きっと、自分でもびっくりするくらい、緩んだ顔だろうか。
見つけてくれてありがとう。
助けてくれてありがとう。
何よりも、私と知り合ってくれて、好きにならせてくれて、本当にありがとう。
彼が一瞬だけ驚いたように目を丸くし、その後すぐにくしゃりと笑った。
ツリ気味の丸い目が優しく細まる。
目元に触れていた親指が頬を伝い、口元へと降りてくる。
下唇をねっとりとなぞられて、はっ、と彼を見れば、真っ直ぐにこちらを見つめている。
目を反らせるわけがない。
彼の綺麗な瞳に私だけが写り込んでいて。
それだけでもう、全てどうでもいいや、なんて。
景光くんがさらに距離を縮めた。
唇同士が今にも触れ合いそう。
.
.
「目、瞑って。」
.
吐息を含んだ甘い声でそう告げられれば、やることなんて一つで。
ゆっくりと閉じた瞼に、彼が「いい子。」と呟いたのが聞こえた。
.
.
ーーーーーああ、キス、される。
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天然石 - 更新してほしいです (4月21日 14時) (
レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - 更新してほしいです (12月24日 12時) (レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
春香(プロフ) - 更新待ってます！ (11月26日 11時) (レス) id: bb559b3d0f (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - 続き書いてくださいずっと待ってるのですが (11月11日 16時) (レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
SARA(プロフ) - 他作品から来ました。やっぱりすごく面白いです！このじれったい2人はどうなっていくんですか？！気になります！ (10月16日 22時) (レス) id: 000b3a28d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北窓 | 作成日時：2022年5月21日 16時
