25 . この歳になると物忘れが酷い ページ33
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「この浮気モンが」
『バクくんとは結婚してないかな』
ここ最近見ていなかったバクくんが、夢で目覚めた私の顔を仁王立ちで覗き込んでいる。相変わらず口元しか見えないが間違いなく不機嫌だ。あと私は付き合ったら一途だぞ多分。
「さぞ良い寝床で寝てるんだろうなぁ？ここ数日、俺の夢まで来ねぇし」
『バクくんの夢って悪夢判定だったんだ』
「黙って答えろ。相手は？」
額を人差し指でトン、と叩かれる。寝そべってるせいで下手に起き上がれないし……あっ痛いグリグリしないで。
このままでは額がへこんでしまう、なんてふざけた考えを浮かべながら口を開く。
『バクくん絶対知らないよ、九井さんのこと』
「九井？……ふーん」
少しの沈黙の後、意外にもすんなり手が退けられる。
額に指の感触を残したまま上体を起こし、バクくんに向き直った。バクくんは相変わらず口をへの字に曲げていたが、一つため息を吐くと高威力のデコピンで私の額を弾く。
「……チッ、今回は不問にする。次は無ぇから。なんで九井ん家に泊まってるんだよクソ」
『リンドウさ……あ、知り合いの反社の人が間違えて扉壊しちゃってさ』
説明すると雰囲気を暗くし、小さく誰にも聞こえないような声量で「竜胆殺す」と呟いたバクくん。本当に彼ならやりそうなので止めておく。
「で、困ってんの？」
『うーん、そろそろ帰りたいかな』
しばらく泊めてもらってるし九井さんにも申し訳ない、と事情を話せばバクくんは顎に手を当ててなにか考えるような仕草をした後、顔を寄せてくる。
「オレがなんとかしたら、名前思い出す？」
『それはなんとも』
バクくんの額が私の額にコツンと合わせられ、視界が歪み始める。
「思い出せないんなら、"きっかけ"を作ればいい」
最後の言葉は、聞き取れなかった。
ローテーブルの前に座り、淹れたばかりのコーヒーを特に冷ますこともせず口へと運ぶ。そうして早朝からパソコンの画面を眺めていた九井の視線はドアノブが発する音に反応してパソコンから離れた。
「早かったな。お前今日昼番だろ？」
まだ眠いのか、音の主であるAは虚ろな目をしたまま九井に向かって歩く。そして何を思ったのか九井の隣に腰を下ろし、ジッと顔を眺めて手を伸ばした。少ししてカサついた形の良い唇が動く。
『髪伸びたねぇ、ザナくん』
サラ、と髪を梳く手。その目が九井ではない誰かを見ていることは明白で……
「起きろバカ」
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むーこ - またお返事が貰えるとは…！嬉しいですっっ！！ありがとうございます…！更新来てるの見るだけでテンションめっちゃ上がりました！これからもずっと応援してます！ (4月8日 13時) (
レス) id: 6b7afb9598 (このIDを非表示/違反報告)
惰眠の雑食(プロフ) - むーこさん» コメントありがとうございます！最近かなり更新頻度が減ってきていますが、こんな小説でも支えになれるということを聞けて嬉しいのでやる気出して書いていこうと思います！これからも応援よろしくお願いします👍 (3月30日 17時) (レス) id: 3cf3b068e7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 返信も嬉しかったです〜！ (3月24日 21時) (レス) id: 6b7afb9598 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - この小説、元気なくなった時に読むとすごく笑顔になれます！日常の支えです！素敵なお話の更新気長に待ってます！主様ありがとうございます！！ (3月24日 21時) (レス) id: 6b7afb9598 (このIDを非表示/違反報告)
メイデーア - 回答ありがとうございます！イザナらしいですね！これからも更新頑張ってください！ (3月4日 21時) (レス) @page49 id: 8fc649d94d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惰眠の雑食 | 作成日時：2023年3月27日 0時
