20 . 夢も希望もへったくれ ページ25
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将来の夢とか、あったっけ。
寒さが本格的になってきた、日本の冬。コタツという魔法のアイテムにもぐってゆったりと過ごしたいところだが、生憎その魔法のアイテムを買う金銭という名の魔力に余裕が無いものだから困る。魔法少女になれなかったのだ私は。
くぁ、と大きな欠伸をひとつと、入口の隙間から入り込んでくる冷たい風に身体を震わせる。帰りはおでんを買っていこう、と固く決意した。
「よぉ、やってるか」
『ここ居酒屋じゃないんですけど』
入店音と共に現れたのは長い銀髪をバレッタで纏め、マフラーに顔半分を埋めている九井さん。それと鼻をすこし赤くしながら手に息を吐いているカクチョウさんだった。
九井さん、今日は珍しくチャイナ服じゃなくてコート着てる。まぁこの寒さであの薄っぺらいチャイナ服着てたら正気を疑うわな。
「あ"ーさみー……マジで日本の冬どうかしてるわ。
柴、おでんくれ。卵と大根と……鶴蝶は何がいい？」
「自分のくらい払えるぞ？」
「いいんだよ。今回の商談はほとんどお前の手柄だしな、礼に奢ってやる」
「そうか、なら……牛すじとしらたきを頼む」
『かしこまりました』
二人で並んでいる所をあまり見たことは無かったが、良い信頼関係を築けていそうだ、ということが分かる。それに対してうちのコンビニは、私が休みの日は不眠不休で働いていた工藤くん、そして休暇中よく寝たので隈が少しだけ改善された私、という不本意で固まる社畜で構成されているので、ある意味二人でプ○キュアなのかもしれない。
小さい頃、女の子たちはプ○キュアになるんだーって言ってたな。将来の夢とかなんとかって。
夢、夢か……
『おでんのつゆになりて〜……』
「寒さで頭やられたか。なんの話だよ」
『将来の夢です』
「将来の夢……おでんのつゆ……？」
一人だけ宇宙に旅立っているカクチョウさんを置き、おでんをパックに入れていく。寒いからお出汁を多めにしておいた。カツオと昆布の良い匂いが鼻を掠めて腹が減る。餅巾着買ってこう。
『お二人は将来の夢とかありました？』
「あ？将来の夢？……いやもう遅ぇだろ」
呆れた風に片手を振る九井さんが「鶴蝶は？」訊くと、宇宙から帰ってきたカクチョウさんはなんとも言えない顔で俯いた。その後顔を上げて、悲しそうに眉を下げる。
「あったよ。……もう叶わねぇが」
会計を済ませた九井さんに続いて帰っていくカクチョウさんの後ろ姿は、なんだか小さく見えた。
21 . ノンアルとかほぼ水だろ→←19 . 手紙とバイクと思い出と
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むーこ - またお返事が貰えるとは…！嬉しいですっっ！！ありがとうございます…！更新来てるの見るだけでテンションめっちゃ上がりました！これからもずっと応援してます！ (4月8日 13時) (
レス) id: 6b7afb9598 (このIDを非表示/違反報告)
惰眠の雑食(プロフ) - むーこさん» コメントありがとうございます！最近かなり更新頻度が減ってきていますが、こんな小説でも支えになれるということを聞けて嬉しいのでやる気出して書いていこうと思います！これからも応援よろしくお願いします👍 (3月30日 17時) (レス) id: 3cf3b068e7 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 返信も嬉しかったです〜！ (3月24日 21時) (レス) id: 6b7afb9598 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - この小説、元気なくなった時に読むとすごく笑顔になれます！日常の支えです！素敵なお話の更新気長に待ってます！主様ありがとうございます！！ (3月24日 21時) (レス) id: 6b7afb9598 (このIDを非表示/違反報告)
メイデーア - 回答ありがとうございます！イザナらしいですね！これからも更新頑張ってください！ (3月4日 21時) (レス) @page49 id: 8fc649d94d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：惰眠の雑食 | 作成日時：2023年3月27日 0時
