【東リべ】ブラックコンビニには反社の皆様がよくいらっしゃいます【梵天】

16 . Death or Treat？ ページ18

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多分訊かない方がいいんだと思うけど、無理がある。


『あの、モチヅキさん』

「……あぁ、どうした」

『どこかで、その、転びましたか？』


目の下を隈に侵食されているモチヅキさんのコートを指さす。黒色の生地のものを着用しているにも関わらず目立つ赤いシミ。いつも格好よく着こなしているワイシャツとネクタイまでもが赤にまみれて縒れており、転んだ、という言い訳では結構苦しい。だが私はいつもの如く疲れていた、物凄く。なので例えそんな言い訳でも納得できてしまうだろう。


「ちょっとな」

『血は……食器用洗剤で洗うとよく落ちますよ』

「そうか……試してみる」


後で思い返し、モチヅキさんも反社なのかもしれない、とようやく認識することが出来たが、当時の私は本当に疲れていたので『マグロ食いてぇな』くらいにしか思うことはなかった。疲労は恐ろしい。

その後は特に何を話すという訳でもなく、モチヅキさんはゼリー飲料を大量に買って帰って行ったのだが、あと二人見た目がバイオレンスな野郎が来ることになる。そんなことなど露知らず、私はいつも通り死体もビックリなほど死に腐った顔で床掃除を始めるのであった。








「お姉さん、これ会計な〜」

『……お会計○○円になりま……
バイオレンスマイ○ロディ……？』

「あ？なんて？」


どうしたことだろうか、最近よく来るサン○オブラザーズことハイタニさんたちが真っ赤ないちごジュースをかぶって来店したではないか。すっげぇメルヘンだけどなんか鉄臭いな。気のせいか。

いちごで思い出したけど、もうすぐハロウィンだったっけ。……あれ、今日……

先程来店したモチヅキさんの格好を思い出す。そういえば大寿が受け持ってる店でもハロウィンイベントの企画出てるとか言ってたな、と思い、ズボンのポケットを漁る。
するとハイタニさんたちの表情が僅かに曇った。


『あの、もしかしてなんですけど』

「……なに？」


ポケットから手を出し、拳を作って前に出す。小さい方のハイタニさんが懐に手を入れたままそれを訝しげに見て、そしておずおずと片手を差し出してきた。


『ハッピーハロウィン、です』


そうか、今日はハロウィンだ。
思い出したのをいいことにポケットに常備してある飴を手のひらに落とす。サン○オによく似合ういちごミルク味だ。
死んだ表情筋で渾身のドヤ顔を決めていると、ハイタニランさんが勢いよく崩れ落ちた。

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