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アンチくん6 ページ9

「あれ、翁長さん。今日は一人なの?」


「あー……うん、アイツ今日はいないから」



放課後、珍しくクラスメイトに話しかけられた。
比較的いつも一緒にいる一鉄がいないからだろうか。
……というか、休んだのにも気付かれてないぞ一鉄。


くだらない雑談をしてからクラスメイトと別れる。

それにしても一鉄は、何故欠席したのか。
疑問を胸に抱いたまま帰路を辿った。



ーーーーーーーーーー



さて、今日は何日だったか。

不意にそう思ったのは帰宅してからのこと。
一鉄が休んだことと関係があるような気がしなくも
ない、と感じたのだけれど……気のせいか。


スマホの画面を開いて一鉄に連絡を入れる。
担任からは曖昧にされてしまった欠席の理由を問いただすために。

『何で休んだの?』と送れば割とすぐに既読が付き、『か風邪引いた』と、半ば焦っているかのような文章が送られてくる。寒気で指でも震えてるのか。



『お大事に。じゃあ明日は発表会無し?』


『もう治ってきた。どっちでもいい』


素っ気ない文章が返ってくる。

なんだ、心配して損した。
心の中でボヤきながら了解のスタンプを押す。
一鉄はけたたましく動くスタンプを返してきた。

……そして、今日は何日だったっけ。

画面のカレンダーを見て日付を確認する。
カレンダーには10月16日と表示されていた。



ーーーーーーーーーー



結局、いつも通りに発表会を行うために安家家を訪れた私。最近はインターホンを押すことも無くなってきている。

お邪魔します、と軽く告げて階段を上がり、中に居るであろう一鉄に声を掛けて漫画専用部屋のドアノブを回す。

するとドアを開ける前にガタンッ、と何かが落ちる音がした。



「鉄、どした?開けるよ?」


「ばっ……ちょ、ちょっと待て!いま片付けて……」


「お邪魔しま〜す」


「このクズッ!!」



制止の声と罵倒を無視してドアを開け放つ。
知的好奇心で開けたは良かったが、部屋には息を切らした一鉄と壁を埋め尽くす本しか無かった。



「やっほ、鉄。風邪は大丈夫だった?」


「はぁ、はぁ……、風邪?……あ、あぁ!風邪な!!ま、まぁちょっとはマシになったかなゲホッゲホッ」


「え。なに、嘘くさ」



わざとらしく咳をする一鉄に訝しげな視線を向ける。
それにしても何か引っかかるものがあるのだが。





……よし、尋問しよう。

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作者名:惰眠の雑食 | 作成日時:2021年3月21日 0時

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