生存八日目。 ページ9
「Aッッッ!!」
非常に傍迷惑に、非常に大きくバァンと扉を鳴らし、非常に迷惑極まる悲痛な声が、耳に届いた。
次いで、バタバタと云う大袈裟な足音が迫る。
「嗚呼、此の声……」
「え、A如何したの!?」
呆れる国木田さんの声、困惑する敦君の声。
国木田さん、後で仕事はします。
敦君、後で話すね。
だから今は_______
「Aッ!!目覚め、てェッ!?」
_______此の糞包帯無駄遣い野郎を殴らせろ。
・
「い、行成り殴るなん」
「あー、何か蝉が鳴いてるなぁー。国木田さん、殺虫剤或ります?」
呆れた、と云うか最早諦めた様な眼差しを、私の目の前に正座する糞包帯(略)に向けつつ、済まん切らしてる、と冷静に対応する国木田さん。苦笑いしながら呆れる敦君も、私の後ろから屑上司の様子を見ている。
「Aあの」
「あ、敦く」
「ねェ聴いて?!」
好い加減泣きそうな陰湿男の双眸に、極力冷たい目を合わせる。
此れと同じ前職だった頃に良くしていた目だ。
残念だが此れには効かない。
「何。要件が或るなら十五字以内で簡潔に述べて」
情を掛けて、冷たく放つと、ほっとした様に胸を撫で下ろす素振りを見せた。絶対態とだけど。
「A身体は大丈夫かい?」
ちっ、十四文字かよ。
心の中だけで無く、表立って舌打ちをすると、ええ!?と驚いた目を向けて来やがる。
「与謝野さんの御陰でね。何処も異常無し」
今度は本当に、安堵で胸を撫で下ろした太宰。
善かった、何て小さく呟いて。
此方は全然善く何か無いって云うのに。
自然と眉間に皺が寄る。
「太宰」
「なんだい?」
すっかり安心し切った様な表情は、更に私の神経を逆撫でる。当初云う筈だった言葉、矢張り云って仕舞おう。
「___太宰。彼の時何故、私を殺さなかった?」
「嗚呼、其れは…」
目線を床に落とし、口篭る太宰。
何て稀有な事だろう、と頭の片端で思う。
私の後ろでは、A…?と
____後免ね、敦君。矢張り、国木田さんから聴いて。
答えぬ太宰に憤りを感じた私は、口を開いた。
「私は貴方を赦さない。もう二度と、私の前に現れないで」
はっきりと告げた言葉は、非難と拒絶の意。
驚いた様に目を見開く三人と、加えて其の目に絶望の色を見せた男。
其奴に背を向け、敦君を向く。
___話せなくて後免ね。
其れ丈呟いて、簡易応接室_____否、探偵社から出て行った。
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りく(プロフ) - 物部さん» き、期待していただけるなんて光栄です!!スランプにがっつりハマっていますが、頑張って更新します! (2016年11月28日 21時) (レス) id: ac95837323 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - 続き期待しています。更新頑張って下さい! (2016年11月21日 22時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - つららっちょさん» んおおおお!そんな、そんな!嬉しいです!!ご期待に添えるよう頑張ります!!コメント有難うございます!! (2016年9月3日 21時) (レス) id: ac95837323 (このIDを非表示/違反報告)
つららっちょ(プロフ) - 夢主ちゃん幸せになってて良かった……!更新される度に心が踊ってました笑これからも楽しみです。応援しています! (2016年9月3日 21時) (レス) id: 134dceea58 (このIDを非表示/違反報告)
りく(プロフ) - あさぎり*さん» 最初から!頑張って更新します!!コメント有難う御座いました!! (2016年9月1日 7時) (レス) id: ac95837323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りく | 作成日時:2016年8月20日 18時